少年陰陽師2
□第四十八部
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(晴明様に話せてよかった)
貸し与えられた部屋に向かいつつ
彰子はそっと胸を撫で下ろしていた
ここ数日、夜ではなく黄昏時
転寝をしてしまったときに視るあの夢を
最初こそ不気味に感じていたが
いまではただただ不思議に思うばかりの彰子であるが
やはり、様々な前例もあってか
そのままにしておくというのは不安でもあったのだ
(それにしても、いつも何かをしているときに限って寝てしまうのはどうしてかしら)
最初は書物を読んでいるときであった
二度目は文章を綴っている途中
三度目は裁縫中ちいった具合で
毎度毎度睡魔が見計らったようにやってくる
昌浩が帰ってくるのを待っているから
夜遅くに寝ることにはなっているものの
それでもちゃんと眠っている筈なのに
(・・・今日で六日目)
夢の闇が薄らいで水の中にいる誰かがわかれば
あの睡魔の原因もわかるのだろうか
(譲刃がくれたお守りもあるんだもの、大丈夫よね)
そっと手を当てた胸には、物の感触が二つある
一つはずっと持っている匂い袋
もう一つはあまりにも良くないものに好かれやすい彰子を見兼ねた譲刃が手ずから作り出した
御神木を用いたというお守りであった