少年陰陽師2

□第四十四部
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 時間なんて概念は必要とされなかった
だから
伸ばされた腕を防ぐことも
躍り出た色彩を押し退けることも
できやしなかった

「・・・・・金燐?」

 最初はわからなかった

「・・・何してるの?」

 わかりたくなかった

「どうしてそこにいるの?」

 判りたくなかった

「ねぇ」

 華のように舞い散った鮮やかさが何であるかなど

「ねぇってば」

 譲刃は判りたくなんてなかった

「金燐」

 判ってしまった自分を、殺してしまいたくなるほどに


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