少年陰陽師
□第三十六部
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(・・・・・ん?)
屋根に腰掛けて人の流れを眺めていた勾陣の視界の隅を白金が掠める
なんとなく目でその色を追ってみれば
行き着いた先は小さな背中
並ぶ二つの背中がやけに酷似しているなと
ふと思い浮かべたところで
昨日同胞が話していた事柄が
一緒になって浮かんできた
(まさか)
胡座をかく膝に乗せていた頬杖から顔を離し
こちらから微妙に物陰となってしまっている背中
ひたすらに筆を滑らせているらしい方を凝視し
その隣にある落ち着きのない存在に
その柳眉を呆れたように寄せ
再び頬杖に重みをかける
(表に出してくるとは馬鹿なことをしたものだ)
視える者には視えてしまうだろうに
ひとりごちた勾陣の言葉に首肯するであろう誰かは
今隣にはいなかったが