少年陰陽師

□第二十四部
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「あれを退治るには元を叩くのが一番だ!小娘を捜せ!」

 炎で異形の足下を崩しながら
騰蛇が昌浩を肩越しに顧みる
言われたとおり晴霞の霊力を探ってみるものの
結界と異形の気配と瘴気が邪魔をしていて
術者である晴霞の気配など・・・

いや待て、この異形を式として動かしているのは晴霞で
召喚もしくは創ったのは晴霞で間違いない
そしてこのように凝った式を出したり操るためには
なんらかの動かせないものを使用している筈

どのみちこの瘴気の発生源の傍に彼女はいるだろう
大体は媒体として固定型の物を使用するだろうから
触れられるのを防ぐため動くこともあるまい

(だったら・・・!)

 瘴気の発生場所をつきとめるまでだ
結界と異形の気配が充満していても
発生源の瘴気の濃い場所なら探すことは可能

思ったよりも結界は大きくはない
これなら短時間で発見して
式である異形を退治ることが出来る

(あっちか!)

 ふっと意識を集中させてみれば
発生場所はいとも簡単に見付かった
距離はさほど遠くもないが
無事に辿り着けるかが問題だ
先のような異形がもう一体いないとも限らない

「紅蓮!六合!」

 どこまでも直線な路を走りながら二人を呼ぶと
異形と対峙しつつ二人は反応してくれた
その視線が続く言葉を促していることを感じ取って
昌浩は保っていた己の速度を殺す

「俺は一人で譲刃を止めたい、その異形を頼んでも良い?」

 向けてくる言葉も眼差しも真っ直ぐな昌浩に
各々の武器を昌浩に見せた二人の神将は
惚れ惚れするほど不敵な笑みを浮かべ
異形へと視線を戻すと
微かに地を抉りながら異形へと突っ込んでいく
言外に行ってこいと背中を押された少年は
素早く踵を返して走り出した


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