少年陰陽師
□第二十三部
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「汝を成し上げたのは我唯一、汝は我の鬼にして力なり」
中央に置かれた符が黒い靄に包まれ
立ててある針の先に同じく黒い電気のようなものが爆ぜる
発動は順調にいった
かといって絶対に気を緩めてはいけない
緩めては自分で創ったモノに引きずり込まれる
気をしっかり保って臨まなければ
異形を集めて創った蠱毒だが
油断などしてみれば刹那の間に全てが終わる
「我が再び望み申すは汝の顕現」
重たくて粘つく空気の中に
何度目かの拍手の音を広げて
ゆっくりと肺の空気を入れ換える
「汝を使鬼と化さんこと!」
霊力を籠めた言霊が
異形を閉じ籠めていた符を引き裂いた
針と針の間を繋げて描かれる八角形から吹き上げた靄は
収束してそこそこに大きさのある異形の姿を取り
炯々とした光を湛える紅い目で晴霞を見据えると
昌浩がいる方へと向かっていった
「・・・よし」
懐から引き抜かれた数枚の護符
それを陣の上にばらまき手に数珠を巻き印を結び
陣に使用している針より太い物を爪先の間に突き刺すと
浴衣の袂を翻して地面に腰を下ろす
(さぁ、気合いを入れるのは)
これからだ