少年陰陽師

□第二十三部
3ページ/3ページ



「汝を成し上げたのは我唯一、汝は我の鬼にして力なり」

 中央に置かれた符が黒い靄に包まれ
立ててある針の先に同じく黒い電気のようなものが爆ぜる
発動は順調にいった
かといって絶対に気を緩めてはいけない
緩めては自分で創ったモノに引きずり込まれる

気をしっかり保って臨まなければ
異形を集めて創った蠱毒だが
油断などしてみれば刹那の間に全てが終わる

「我が再び望み申すは汝の顕現」

 重たくて粘つく空気の中に
何度目かの拍手の音を広げて
ゆっくりと肺の空気を入れ換える

「汝を使鬼と化さんこと!」

 霊力を籠めた言霊が
異形を閉じ籠めていた符を引き裂いた
針と針の間を繋げて描かれる八角形から吹き上げた靄は
収束してそこそこに大きさのある異形の姿を取り
炯々とした光を湛える紅い目で晴霞を見据えると
昌浩がいる方へと向かっていった

「・・・よし」

 懐から引き抜かれた数枚の護符
それを陣の上にばらまき手に数珠を巻き印を結び
陣に使用している針より太い物を爪先の間に突き刺すと
浴衣の袂を翻して地面に腰を下ろす

(さぁ、気合いを入れるのは)

 これからだ


前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ