少年陰陽師

□第二十一部
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(あ〜、でもなぁ・・・)

 晴霞は水盆を片付けようと水面を覗き込み
まず水中から出さなければならない水晶に手も触れず
そのまま膝を抱えるように屈み込んで
膝頭の間に深く顔を埋める

(何だろうこの凄い罪悪感・・・!)

 視たかったことは確かに視えたし
彼女へ対する勝手な疑念も綺麗に晴れた
だが何だ、この胸と喉につかえるような罪悪感の塊は

「ちょっと視過ぎたかも、ごめんなさい」

 今回の占いは個人の目的で行ったものだ
一度阻止はされたものの
知りたかったことは無事知れたし
思いがけないおまけまで付いてきた

もしこれが依頼されていたことならば
結果は依頼主に伝えねばならないが今回はそうではない
誰にも話さず知らぬ存ぜぬを貫き通せばいい話
だがしかし、いかんせん経験の浅い晴霞であるからして
想定しなかったにしろ知ってしまったことには
まだ罪悪感を拭えずにいられないのである

(余計に知っちゃたけど、まぁ諦めるより他ならないか)

 もう片付けないと術の影響が結界内に残ると思い当たり
水鏡と水晶を清めた晴霞は
道具を両手に抱えて塗籠へと向かう
結界内に在り見えないはずのその背中を
隣の邸の木の枝から眺めていた者があったことを
“偶然”にも知る由はなかった



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