少年陰陽師

□第八部
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「うわっ!」

 いつも通り
昌浩は雑鬼達に潰された

「っお前等・・・」

「毎日毎日潰さないでよ!」

 続けようとした言葉が
もう一人の声にに奪われてしまった

「へ?」

 試しに顔を上げてみれば
もう一人潰されているではないか

「いい加減にしないと祓うよ!」

 自分と同じように潰れている少女が
背中の上の雑鬼達に向かって吠えている

「孫には無理だな」

「だよなあ、孫だもんなあ」

「あの葛葉でも手を焼いた俺達を、孫が浄化出来るわけ無いだろう、なあ、まーごっ」

 吠えられた筈の雑鬼達は
微塵も怯えること無く
けらけらと笑っている

「人の上で孫孫言わないでーっ!」

 昨夜の自分と同じ事をしている少女に
昌浩は感動を憶え
同時に親近感も一気に湧いた

「孫が二人もいるのか、雑鬼に潰される情けなーい孫が」

「「孫言うなっ!!!」」

 物の怪の呆れ言葉に
即座に返した二人の言葉が重なった
顔を見合わせた二人は
息を合わせて立ち上がり
肩や背中の雑鬼を払い落とす
雑鬼達は口々に酷いと騒ぎ立てるが
そんなこと知ったこっちゃない

「安倍昌浩殿」

 少女が
昌浩に握手を求めてきた

「多分知ってるだろうけど、私の名前は桜宮NAME4##」

 求められた握手に
昌浩は素直に応じた

「昌浩で良いよ、えー・・・と」

 逡巡している昌浩に
晴霞は笑いかける

「譲刃で良いよ、昌浩」

 手を離した昌浩は
物の怪をむんずと掴み持ち上げた


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