少年陰陽師

□第六部
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「あの子供どこいったの!?」

 十二神将金将の太陰は
つい先程まで追っていた少年らしき影を完全に見失い
すっかり肩をいからせていた

「撒かれたな。まぁ、太陰が見張っているのでは、仕方の無いことなのだろうが」

 同じく十二神将水将の玄武は
この事が解っていた様に浅く嘆息する

「ちょっと、それどういうことよ!」

 十二神将は数十年前から
昌浩の祖父である安倍晴明に式神として仕えている
中でもこの二人だけは子供の形をしており
玄武はそうでもないものの
太陰の性格は子供のものに近くあった

「そのままの意味だ。わざわざ地に降りて追跡しようなどと太陰が言わなければ気付かれて逃げられることもなかったのだ」

 玄武の率直な指摘が
太陰の痛い処を突く

「仕方ない、今回も白虎に頼むとするか・・・」
「止めて!それだけは勘弁して!お願い!それだけは!」

 玄武が白虎に連絡を取ろうとすると
太陰が玄武の肩を掴んでそれを制止させる

「今度から気を付けるから!気配もなるべく隠すから!白虎だけは!」

 喉元過ぎれば熱さを忘れる、が性格の太陰に
千年以上一番振り回されている玄武は
またか、と思いながら半眼になる

「わかった、わかったから、だから騒ぐのを止めてくれ」

 嗚呼、だがまたこいつは繰り返すんだろうな。
と思った玄武の腕を、喜びで輝く太陰が掴んだ

「だったらさっさと晴明の処に帰りましょう!術解いて貰わなきゃ!」

 額と両目を片手で覆う玄武の腕を掴んだまま
太陰は神気で風を生み出し、竜巻にして自分と玄武を包み込むと
瞬く間に大空へと舞い上がった


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