少年陰陽師

□第五部
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(夢で逢えるなんて・・・)

 晴霞は慣れた手つきで髪を結い
出仕の為の衣装を着用していく

「さてと、今日も頑張ろう」

 準備万端で邸を出ると
晴霞の琴線に何かが引っかかった
何かに視られている気がする

(やれやれ、邸がばれたかな?)

 溜息を一つ吐いて
晴霞は袂の中に隠した鈴を緩く握る

「我を視る者を迷へ誘え」

 袂の中に鈴を隠したまま軽く振り
視ている“何か”に術をかけ
そのまま駆け出す

(・・・やっぱり、式神の気配がする)

 確実に人間とは思えない気配が
ひた走る晴霞を追ってきている

(ここで曲がれば・・・!)

 追ってくる気配との間に大分距離を稼いでから
鬼門の方角へと素早く曲がった

(・・・・・上手く撒けたかな?)

 先程の気配を探ってみれば
一ヶ所に留まって動いていない

(早く離れないと)

 晴霞はぱっと身を翻すと
脇目も振らずに内裏へと駆け出した


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