頂き物語り

□としぞー
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『……千鶴はどうした』



幹部が顔を見合わせながら、首を捻る 
いつもなら誰よりも早く広間に来て、 



『おはようございます!』



と、笑顔で迎えてくれる千鶴が幹部全員が集まってもまだ来ていない。 
土方の眉間の皺が深くなる 


襖がスッと開き、



『…すみません。遅くなりました』



千鶴が広間に入って来た 

皆が千鶴におはようと挨拶を交わしている中 



『遅せぇぞ千鶴!さっさと席につけっ!!』



土方の一喝が響き 



『すみませんっ!』



千鶴が慌てて席についた。 




……心配だったくせに 


……朝から厳しいよな〜


……恋仲でも容赦ねーな
 




皆が心の中で色々呟く中 
食事はすすんでいった 
しかし 
千鶴だけは、食事に手を付けずにいた 



『おい、千鶴。顔色が悪りぃみてぇだが……』



原田が声を掛けると、弱々しく微笑みながら 



『…いえ、大丈夫です。ありがとうございます。』



そう答えるも、食事には相変わらず手を付けないでいる千鶴の様子に皆が心配をする。 



『千鶴?顔色……真っ青だぞ?千鶴?!』



皆から心配する声が上がりだし、千鶴は造り笑顔を見せていたが 


『土方さんすみません、部屋に戻ります』



土方に頭を下げ、千鶴は広間から出ていった。 



原田が部屋まで送ると言い出す程に、千鶴は明らかに体調が優れないのが誰の目にも解るのだが 



土方だけは、眉間に皺を寄せた儘食事を続けていた。 





……心配だったらそう言えばいいのに 





皆が同じ事を考えながら、食事は続けられた 



『バレているのに、隠したがるんですね。誰かサンは♪』


『―っ!総司!!黙ってろって!!』



沖田と永倉のやり取りを見て、土方の箸が真っ二つに折れてしまった。 



『総司!新八!何か言ったか?!』


『『別に…何も』』





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