ワンピース
□不死鳥マルコ
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別れを命令したオヤジ。
それを素直に受け入れられるはずがない。しかしマルコ達白ひげ海賊団に、従う以外の選択肢はない。
海楼石に捕まってしまったマルコ。
馬鹿な末の弟に、ただ焦る。何よりも助けなければならない存在なのに。
エースの、家族みんなの命が、オヤジの意思だ。
「白ひげはこの時代を作った大海賊だ!!」
そんな事、わざわざ言うまでもない。
「この時代の名が!白ひげだァ!!」
マグマに焼かれたエース。
赤犬は容赦なく、エースの弟に向かう。
「ルフィ!!」
弟を庇うエースが見えて、息が止まる。
「エース!!」
グッと、エースより一回り小さな体が縮んで、伸びた。
力を振り絞ったエースの弟が、兄の体を押す。
兄弟二人、互いを庇うように、押し倒すようにしてマグマの軌道から逃れるが―――
「うわァア゛!」
「あ゛ぁ!」
わずかに逸れた体。
エースの背中、白ひげの証が焼ける。弟も火傷を負う。
けれど二人とも、何とか無事だ。
早く、手錠をはずさなければ。
焦るマルコの上を、何か大きな影が過ぎった。
「―――エースぐん!!」
ズウゥンッと、赤犬目掛けて落ちた影。
「包囲壁か!チィ…!!」
マグマを吹き飛ばしたのは、包囲壁だった物。
「エースぐん、早ぐ走れェ!」
オーズがはがした壁を投げたのだ。地面に突き刺さり、文字通り壁になる。
「いや〜!助かったガネ。私はあのまま―」
「いいから錠を外せ!!」
赤犬がこれで止まるはずがない。
とにかく海楼石の手錠を外さなければ何も出来ないと、マルコは急ぐ。
「エースさん!今は生き延びるのが最優先じゃ!オヤジさんの思いを無駄にするでない!!ルフィ君も限界じゃあ!」
叫ぶジンベエ自身も、投獄、脱獄、戦場と経てボロボロだ。
「……ルフィ、立てるか?」
弟を背に、壁を睨んだままのエース。
「あぁ…、大丈夫だ!」
頷く弟。逃げるだけの元気はあるようだ。
それは、ミホークと戦わなかった分―――ウミの知る物語よりも、白ひげ海賊団が優勢な分―――そんな事は、誰も知らない。
「ジンベエ、ルフィを頼む」
「エースさん!?」
引かない様子のエースに、マルコは盛大に舌打ちした。
「オヤジを馬鹿にした事だけは、許せねェ!」
「馬鹿なマネを………おまえさんの頑固さを忘れとった!」
「エース!?」
ルフィとジンベエが止めても聞かない。
「…あの馬鹿エース!!」
やっと外れた手錠を放り投げ、マルコは末の弟のもとへ急いだ。
案の定、壁一枚くらい簡単に迂回してくる大将赤犬。
エース達に向かうマグマを体で受けたのは、ジンベエだ。
「ウゥ…」
「つまらん時間稼ぎはよせ、ジンベエ。元七武海だ。わしの力は十分に知っとろうが…」
「この身を削って…時間稼ぎになるなら結構!もとより命などくれてやるハラじゃい!!」
「その必要はねェよい!!」
「マルコ隊長!ビスタ隊長!」
ビスタと共に赤犬に一撃を入れる。
「く…!ア〜〜〜うっとうしいのォ………!覇気使いか…」
「エースを連れてけよい!ジンベエ!!」
「わかった!!」
ジンベエの肩に担がれるエース。そのまま大人しく行って欲しい。
「エースさん、悪く思うな!」
「放せよ、ジンベエ!!………何だ?これ…海楼石か!?」
「!!…そうじゃった!」
担がれたエースの体から、不自然に力がぬけて連れて行かれる。その隣を、エースの弟も走る。
海楼石?
ジンベエが?
そんな物、持っていたのか?
何にせよ、今はエースを止めるのに調度良い。
「兄弟二人共、逃がさんと言うたハズじゃ…!」
マグマがしつこく迫る。
「赤犬さん!危ないっ!!」
ドン!!
「…ぐうウッ!!」
オヤジの一撃が、赤犬を地に倒した。
そして―――
「これで少しでも止められるもんなら………えぇい!撃水!!」
反撃しようとする赤犬に、小さな水柱がぶつかった。