ワンピース

□コルボ山にて
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台所から顔だけ出してみたら、腕が伸びてきた。

「ウミ!!」
「ル―」

満面の笑みのルフィ。

伸ばした腕で肩を掴むルフィ。

手加減やら力加減やらを知らないルフィ。

扱いきれていないゴムゴムの実の能力で、私を掴む。そのままビョンと引き寄せられて、子供達の前に文字通り引きずり出された。

…肩が痛い。
他にも途中の壁やらテーブルやら、ダダンさんやらにぶつかって、あちこち痛い。擦り傷だらけ。ちょっと泣きたい。

「ウミ、久しぶ…アァ゛〜ッ!?血が!怪我してんのか!?誰だ、チクショウ!」

「「おまえだろ!」」

ゴチンッとダブルで拳をくらったルフィ。
ぶつけられたダダンさんと、エースだ。
「相変わらずだな」
半目の村長さん。
見てないで助けて欲しい。



…エース、だ。

目の前で苦笑しているのは、サボ。
「大丈夫か?」
「はい…」
引きずられた私を起こしてくれた。

少し、目をそらす。

そもそも私はいないのだから、関わらなくて良い…はずだから。

「はじめまして。ウミと言います」
小さく頭を下げてやり過ごす。
「俺はサボ。あっちはエースだ」
欠けた前歯が見える。その笑顔から目をそらせば、こちらを睨むエースと目があった。
さっきと同じようにペコリと頭を下げるが、フイッと顔を背けられた。

うん、この頃のエースだ。

ルフィとはすでに打ち解けているのか。



私ハ、彼ラノ未来ヲ知ッテイル。



また、目をそらす。



「ルフィ、肩放して。痛い」
「あ、悪ぃ」
パッと放された腕が、ビョンと戻る。何度も見ているが、見慣れない。きっとこれから先も慣れないだろう。
「エース、サボ。こいつウミ。俺の姉ちゃんだ!」
「ぅぐ…」
今度は襟首を掴まれ、二人の前に突き出される。
「首絞まってるだろ」
サボに助けられる。ルフィはまたエースに殴られていた。

とりあえずルフィから距離を取ろうとしたが、左手を掴まれ、持ち上げられる。地味に痛い。
「見ろ。ウミはな、俺とお揃いなんだ!」
自分の目の下と私の手の平をくっつけて、得意げに笑う。

…傷痕が、お揃い?

「わかるように話せよ」
あぁ、エースが呆れてる。
「一緒に怪我したのか?」
サボが通訳。
「そうだ。ウミがいなかったら、俺はシツメーしてたかも知れないって、医者が言ってた。すごいだろ!」
「「自慢する事じゃねぇ!」」
「そうか?」
「そうだよ…」





違う。



私がいなくても、失明なんてしない。

私なんかいなくても、物語は進む。





「ルフィ」
左手を引く。
「放して」
「ウミ?」
「晩御飯、作ってる途中だから」
「ウミが作ったのか?肉か?肉だな!やったぁ!!」



アァ、何故来テシマッタノ?


 
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