ワンピース
□コルボ山にて
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子供の体力で山登りはつらい。
村長さんと一緒に、コルボ山を登る。
「大丈夫か?」
「はい…」
背中の荷物が重い。しかし、これは届けなければいけないと思う。私がいなければ、間違いなく彼に届けられていた物だから。
こんな険しい山中で育てば、それは強くなるだろうと思う。いや、育ってること事態がすごい。
目的地が見えた時、私は心底ほっとした。体力の限界だ。
「ダダン、いるか?」
「…お邪魔します」
平然としたふりをして、村長さんの後に続く。内心、彼らに会う事が少し怖い。
ここにエースがいる。
サボも。
迎えてくれたダダンさん達に、お辞儀をして自己紹介。
「ウミと言います。ガープさんに拾われて、フーシャ村で暮らしてます」
「…ガープの奴はまた厄介なモンを拾ったのかい」
もの凄い嫌そうな顔で、ため息を返された。
しかし、私は血筋どうこうのない一般人だ。
存在自体が異質だが、それは誰も知らない。
「うちじゃもう預かれないよ。あの悪ガキどもで手一杯さ」
「ウミはしっかり者だ。それにそもそも一泊したら帰る。心配いらん」
村長さんが宿泊料代わりだとお酒やら野菜やらを差し出す。
「あぁ、そうかい。で、何の用だ?ガキどもに会いにかい?」
背負っていた袋から、箱を取り出した。
「ガープさんが間違えたプレゼントを持って来ました」
リボンは解いてしまったが、先日ガープさんから貰ったプレゼントの箱だ。
「男の子用の服が入ってました。ここの子の分と間違えたんだと思います」
「あぁ…、アレか」
遠い目をしたダダンさん。
何故?
「エースに聞きな」
「はぁ…」
あまり良い予感がしない。
ルフィもエースも出かけているようで、ダダンさんの家は静かだ。
落ち着かない。
ルフィの騒がしさがあれば、気が紛れるのに。
何故?
どうして?
そんな事を考える隙などないほどに、目の前にルフィが存在するエネルギーは強い。同時に追い詰められるのだが。
思考はさ迷う。
苛立ちと迷いと、この世界で生きるため―――
変エルノハ、アノ時。
アノ戦争。
私ノ知ッテル最後ヲ。
そのために、見捨てる?
助ける?
ドウスル?
子供達が帰ってくるまで夕飯の手伝いを申し出た。
「たいしたもんだ」
「あぁ、チビでもマキノの店で立派に働いとるからな」
「ガキでも働いてくれるんなら良いんだけどねぇ」
踏み台に乗って料理をする私の背後で、村長さんとダダンさんはすでに酒樽を開けていた。
他の山賊達も、酒盛りを始めている。
騒がしい気配がしたのは、調度食事の用意を終えた時。
覚悟なんてないまま、彼らに会う。
洋服という口実と、罪悪感と迷い、好奇心が、私をここに来させたのだ。