ワンピース

□ルフィと
1ページ/1ページ


姉ちゃんは、走るのが遅い。

「うぉォ〜!つかまえたぁ!!」
「ぐふッ!」
体当たりすれば、尻餅をついて倒れた。
「次はウミがオニだ」
「…ルフィ、私…休み、たい…」
「えー、まだオニごっこ始めたばっかりだぞ」
「もぅ、無理…」
「えー?」
鬼ごっこはいつも、すぐに捕まえられる。ルフィが逃げる側だと延々と捕まらない。





姉ちゃんは、木に登れない。

「ルフィ、落ちちゃうよ?」
「へーきだぞ。ウミも来いよ」
「…ぅ、うん」
そろそろと木にしがみつくのが下に見えるが、最後の片足が持ち上がったところで、ずるりと落ちた。
数回繰り返して、木の下に座り込む。
「………下にいる」
「えー!?」





姉ちゃんは、力が弱い。

「マキノさん、酒瓶ここに運んでおきます」
「俺も、俺もやる。俺、もっと持てるぞ!」
「…少しずつにしたほうが良いよ」
「ほら!」
瓶を腕いっぱいに抱える。ウミのように数本ずつ運ぶより、このほうが早い。
「危ないよ」
「ダイジョーブだ!」
「あ」

ガシャガシャンッ!バリン!!



「………」



「落ちた!」
「割れたね…」

二人でマキノに謝って、二人で片付けた。










突然現れたルフィの『姉』。

強くなくても、同じように遊べなくても、ルフィと全然似てなくても、構わない。










姉ちゃんは、賢い。

マキノに字を習ってる。
新聞が読める。



姉ちゃんは、料理が出来る。

マキノの手伝いをしてる。
肉じゃがもカレーも美味い。



姉ちゃんは、掃除も洗濯もする。

ルフィの服を洗ってくれる。
布団を干してふかふかにしてくれる。





姉ちゃんは、時々海を見てぼんやりしている。

「海に何かあるのか?」
「何ってわけじゃあないよ」
「?」
首を傾げれば、頭を撫でられた。
「…ガープさん、なかなか会えないね」
「おぅ!じいちゃんは忙しいんだってよ」
今、ルフィの傍にいる家族は、ウミだけだ。



「ぁ…」
「ん?」

沖を見ていたウミから、小さな声が漏れた。
同じように海を見て、ルフィも気づく。

「何だ、あれ?」
「…海賊船だよ」



一隻の船。

フーシャ村では見ないもの。

掲げられた旗―――海賊旗。



赤い髪の男が、フーシャ村にやって来た。


 
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ