ワンピース

□元帥室の窓辺にて
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小さな子供の存在は、海軍本部に似つかわしくない。
しかし、少女の存在はなかなかに好ましい。

元帥の執務室、窓から街を見下ろしていたセンゴクは、小さな子供を見つけてわずかに頬を緩めた。
それは、買い物帰りの少女とすれ違う海兵達にも言える事。



「こんにちは」
「「「こんにちは!」」」




挨拶をされた兵達は…あれだ。メロメロだ。メロメロで少女を見送っている。

小さな少女は、この厳しく辛い海軍で、兵士達の士気を高める存在になっている。
我ら海軍は、あのように稚い者を守るために在るのだと。



「かっわい〜なぁ〜」
「ガープ中将の孫とは思えないよなァ」
「うちの娘だって可愛いぞ!」
「そりゃおまえ限定のもんだろ」
「俺にも飯作ってくれないかなぁ。ずっと食堂じゃぁな〜」
「大将達は食えるみたいだぜ」
「マジか!?」
「あ、ほら。黄猿さんが…」




聞こえてくる声に見やれば、大将黄猿ボルサリーノ。長身を小さく丸めて、少女の買物袋を受け取っているのが見えた。

まぁ、良い。
黄猿の場合は、きちんと働いている。



「あ、手ぇ繋いでる」
「…何か、あれって」





「ヤクザが誘拐してるみたいじゃねぇか?」





「誰が何だってぇ〜?」
「「「大将!?」」」
「な、なななな何でもありません!」
「そうかぁい?わっしの空耳かねぇ〜?」




光の速さを無駄遣い―――ボルサリーノはすぐに少女のもとへ戻った。



誰も言わなかった事を…。

センゴクとて連れ立ってみればそう見えるとは、知らぬは本人だけである。


 
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