ワンピース

□決戦前
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エニエス・ロビーが、色々と大変だったようだ。

メリー号には一度会ってみたかったな、なんて。

海の向こうで、ルフィは冒険を続けている。



会いに行くつもりはない。





バスターコールの発動の後、ガープさん達を見送った。

「ウミ、ルフィに会いに行くぞ!」
「…行きません」
コビーとヘルメッポが乗船しているのが見える。
「なんじゃ?久しぶりで照れておるのか?つれて―」
「無理強いするガープさん、嫌いです」
「!?」
抱えられそうになって、言葉で攻撃したら、わかりやすく落ち込まれた。泣きそうになっている。
「嘘です。いってらっしゃい。ご飯作って待ってます」
「行ってくる!すぐに帰ってくるぞ!!」
ガープさん、ある意味扱いやすい…。



ルフィを見逃すのに『孫だから』だけでなく、『ウミが待っているから早く帰る』が加わっていた。










あと少しだと考えて、ぶるりと震える。同時に、頬が緩む。



「ウミちゃん?」
サンドイッチに手が伸びてきて、避けた。
「私のお昼ご飯です。クザンさんの分はありません」
いい加減この人のあしらい方も覚えた。拒否、もしくはスルーだ。
「あらら、冷たいね」
服の中に隠れていた海楼石のネックレスを上に出した。
「それ…やめない?」
「やめません」
くすんと泣きマネをされて、ドン引きした。

仕事に戻れば良いのに、クザンさんは私の隣にしゃがみ込んだまま。
じっと意味有りげに見られる。

「エニエス・ロビーが大変でね。俺、結構疲れてんのよ」

…それを何故、私に言うのか?

「ウミちゃんさぁ…ガープさんの孫だよね。両親とか兄弟は?」
あぁ、なるほど。
私とルフィの関係か。
「私はガープさんに拾われたんです。血は繋がってません」
「そうらしいね」
知っていて聞いたのか。
少し心がざわついたが、抑える。
「麦わらのルフィって、ガープさんの実の孫なんだ。ウミちゃん、知ってた?」
「はい…ガープさんの故郷で暮らしていた頃に、ルフィという子と一緒でした」
「そうみたいね…」
私は一度もフーシャ村に戻っていない。ルフィとエースの成長を知らない。
「じゃあ、ドラゴンって知ってるかな?」
「手配書なら」
ルフィのお父さんに関しては、全く関わりがない。



………探られた、か?

この人は、ロビンを知っている。
普通とは違う子供を知っていて、私の異質に気付いているのか?それともロビンを重ねて見ている?

とりあえず、嘘はついていない。





「美味しいご飯が食べたい」

はい?

「オニーサン、最近わりと真面目にお仕事してて、疲れてんのよ」

………真面目の意味を間違えてるんじゃあ、なんて言わない。
じぃっと見つめられて、私は大人しく了承した。

海軍は、嫌いじゃない。
マリンフォードは、私の家だ。
クザンさんも、嫌いじゃない。

「おじさん、何が食べたいですか?」
「…え?ぇ、作ってくれんの!?あ、おじさんはやめて!」

ささやかなやり返しだ。



エニエス・ロビーの後は、スリラーバーク、シャボンディ諸島。そして、エースの処刑―――





アァ、今でも迷う。

けれど、小さな準備だけはしている。

そうしなければ、生きていけない。










私は今も、奪いに来てくれる何かを期待している。


 
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