ワンピース
□海軍にて
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「おや、まぁ」
マリンフォードで最初に紹介されたのは、お婆さん。
「まぁまぁ、可愛らしいねぇ」
「おつるちゃん、こやつはワシの孫じゃ。今日からここに住まわせる事にした」
ガープさんの後ろに半分隠れながら、ぺこりとお辞儀する。
確かこの人は能力者。優しいけど、海軍中将。
「…はじめまして。ウミです」
よろしくお願いします、までは言わない。
私の異質を見つけられないだろうかと、少し引き気味になってしまう。
小さな体だからこそ。内心の脅えが不自然なく、子供らしく見えているはず。
初めての場所に、見知らぬ大人達に、海軍に、少し怖がって緊張しているだけの子供―――そう思われれば良いのだが。
実際、緊張している。
「ちゃんと挨拶出来るんだね。偉いじゃないか。私はつる。みんなはおつるって呼ぶよ。ウミと呼んで良いかねぇ」
「はぁ、その、お好きなように」
目尻を下げて笑ってくれるおつるさんに、やはり少し引いてしまった。
「リボンがよく似合ってるねぇ」
「わしが!選んだんじゃ!」
自慢げなガープさん。相手を間違えた、とは言ってない。
「ガープに面倒見切れるのかい?忙しかろう」
「大丈夫だ。ウミはしっかりしとる」
「…そうかい。まぁ何かあったら私のところにおいで」
呆れたような諦めたような口調だ。ガープさんの強引さには、慣れているのか。
暖かく迎えてくれるおつるさんに、少し後ろ暗さを感じていると、ノックの音がした。
「おつるさん、失礼するぞ」
その人に、息を飲む。
「ガープがここにいると聞いたが…いたな」
入って来たのは、センゴク元帥―――…カモメがシュール。その部分を見つめてしまう。アフロにヒゲの三編み…いや、余計な事は考えないようにしよう。
「子供を連れて来たと聞いたが、その子か。そんな小さな子供をどうするつもりだ?ここは海軍本部だぞ!」
「ワシの傍に置く」
ニィと満面の笑みのガープさんに、ガシガシ頭を撫でられる。こちらも上着にしがみついて背後に隠れた。
「傍?どう見ても戦―」
「ウミの飯は美味いぞ。掃除洗濯もきちんと出来るしのぅ。さっそく今日の晩飯が楽しみじゃ」
「ぁ…じゃあ、台所見たいです。お買い物も」
「おぉ、そうじゃな」
事務員ではなく、家政婦的なポジションか。それなら問題なく働ける。
早々にここから離れようと、ガープさんの手を引いた。
フーシャ村もここも、同じだ。
知っている物語が、私を追う。
「なんだ…世話人に置くのか」
「そりゃ、あんなどう見ても戦えそうにない子、兵士な訳ないね」
ウミ達の出て行った後、センゴクはため息を吐く。つるに至っては、はなから何を言っても無駄だと諦めている。
「何にせよガープについて行けるとは思えん。あんな子供が」
「孫だとさ」
「ガープの孫…?」
それはやはり、一筋縄ではいかないくせ者なのだろうか。
そんな風に思われていた。