短編

□紅班と一緒
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任務受付所にて、紅班とこんにちは。

「よぅ」
手を上げるキバに、同じく手を上げて返す。足元に擦り寄ってくる赤丸はなでなで。
「任務なの?」
「うん」
受けた方ではないが。
小さくニコッと笑うヒナタは、やはり萌えだ。赤丸とじゃれながら、思わずキュンとする。
「カカシはともかく、サスケやサクラは?まだ集合時間には早いのかしら?」
あー…紅先生がお美しい。やはり銀髪とは違うなぁ、なんて見とれていたら、シノが受付を済ませていた。
「物事はきちんと説明するべきだ。何故なら余計な混乱を生むだけだからだ」
「…もうちょっと簡単な言い方したら?」
何故ならキバが混乱しかけているから。

ヒナタも赤丸も首を傾げている。

………可愛い!

久しぶりのダブル萌えぇッ!

「あぁ、任務の依頼人、錦屋なのね」
シノから任務依頼の用紙を受け取った紅先生。納得したと頷く。

はい、そーデス。

私、任務を依頼した方です。

紅班指名で。



「うちのお店が行商するので、護衛してクダサイ」










ガタゴト揺れる荷馬車。
牛は乗っていない。
もちろんドナドナではない。

兄が行商に出るので、私もお供。

何せ呉服屋。
作業着から、反物ひとつで家が買えるくらいの物まである。忍者相手というよりは、盗っ人対策だ。

「争いは全力で回避するようにお願いします」
戦うなという内容に、キバはムスッとして不満そうだ。
「これ」
適当にあった反物をひとつ差し出す。黒地に金銀の糸が織り込まれて、小さな光の乱反射が美しい。
「私たちの年収くらいするヨ」
もっと高い物だってある。
「はぁッ?こんなんが!?」
キバ、あんた今、全世界の服飾関係者を敵にまわした。
「ちょっとでも傷付いたり汚れたりしたら、売り物にならないからネ?あ、そん時はミスしたって事で買い取ってもらー」
「全力で回避する!」
良し。
服なんてよくわからないと首を傾げている赤丸が可愛すぎる。





探知能力、万歳!

こんな安全な旅はない(死の森が懐かしい)。





馬を引く兄。
その前を歩くキバと赤丸。
馬の左右に私とヒナタ。
シノは荷馬車の屋根の上。
紅先生は後ろだ。



………あれ?

私、任務の班編成に組み込まれてる?依頼人なのに?

紅先生を見てみれば、にっこりと微笑まれた。

いや、良いんだけど。

愛しの紅班だもの。





「おまえんち、ホントに呉服屋だったんだな」
キバがぽつりと漏らした。
何だと思ってたの?
「あの親父さんの店だと」
どんな店だヨ!



兄と二人、遠い目…。



「アレは忘れてくれ。頼む」
「え、あぁ。わかった」
兄の顔を見て素直に頷いたキバ。こちらを見られたので、目をそらした。

そうか。
キバも犠牲者か。
ケガ治しにうちに来た時か?



帰ったらしばらく父を無視しよう。絶対。



***

一時的に古巣に帰ってみました。のほほんとした感じで。

 

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