短編
□病院にて
1ページ/1ページ
紅先生にマザーを見た後の小話。
***
紅先生は良いお母さんになるなぁなんて、私が安心している時に、ソレは来た。
「ところで、ねぇ?」
紅先生に、おもむろに呼ばれる。お美しい笑顔が相変わらず眩しい。
「さっき、ハヤテに会ったのよ」
あ、忘れてた。
「元気でしたか?」
「えぇ、リハビリしてたわ」
すっかり忘れてしまっていたハヤテさん。リハビリって事は無事だ。無理して木の葉崩しに参戦、死亡ーーーなんて事にならなくて良かった。
「もう随分良いみたいなんだけど…その、ね?」
笑顔のまま言い淀む先生。
え…私マジでやり過ぎた?
何かしら重大な後遺症が!?
いや、でも死ぬよりずっとマシーーーいやいや。ハヤテさんの忍者生命の危機デスカ!?
「私の顔を見て、逃げたのよ」
「………」
「あれは幻術、あれは幻、なんてブツブツ言いながら」
あれ?
紅先生、目が笑ってない…?
「あなた試験の時、ハヤテに何を見せたの?」
「………」
ーーーど、どうしよう?
さっきまでのマザーはどこ!?
ベットから見上げる紅先生のお顔が怖いぃッ!
「………い、嫌なものを」
「そうね。そう言ってたわね」
下手な嘘はつけない。ハヤテさんがしゃべったら、ばれる(もうしゃべっちゃったかも!?)。
口の中カラカラになってきた。
「び、びっくりして欲しくてですネ?」
「浮気の現場、よね?」
ヒィッ、覚えてらっしゃる。
「ハヤテの恋人なら心当たりがあるけど………浮気って、私と?」
美女がにっこり微笑んでいるのに、何故こんなにも息苦しいのか?
「どんな場面を見せたの?」
ふふふ、と笑う紅先生。
変な汗かきまくりの私。
「ご、ごめんなさい…」
「何に対してかしら?」
この世には、大蛇丸よりも恐ろしいものがある。
美しい人を怒らせてはいけない。
***
ハヤテさんはしばらく紅先生に対して挙動不審かも、と思いついて…。