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テマリとカンクロウにこんにちわ。

目を丸くされた。

「何で砂隠れにいるんだ?」
「うちの手伝い。呉服屋だから、行商しに来たの」
「呉服屋なのか!」
テマリ、驚き過ぎ。
「見えないじゃん」
「じゃあ何?」
「何って…忍者か何か」
首を傾げたカンクロウ。
何かって何だヨ。



とりあえずお茶を頂く。

お茶を入れてくれたのはテマリだ。しっかり味わっておこう。
砂隠れの茶請けも美味だ。



「あ、お土産があるんだ」
もぐもぐしながら、荷物を取り出す。
風呂敷を開いて見せれば、テマリが目を輝かせた。
「着物か!」
嬉しそうだ。
女の子だもの。
「うちの商品。これ着て街中練り歩いて、宣伝してクダサイ」
「…商人だな」
「まぁね」
商いは甘くないからネ。

いまだに戸惑っている我愛羅が萌えだ。
しげしげと着物を見つめている。無表情だけど。

可愛いなぁ。

「あれ?俺のだけ二着あるじゃん?」
「カラスの分」
身代わりの時に同じ服装じゃないと困るかと。
「おまえ…」
カンクロウの目が見開かれる。隈どりのせいか余計に強調されて少しキモい。
「おまえ、よくわかってるじゃん!」
今度はクッと涙ぐまれた。
「テマリも我愛羅も他の奴らも、カラス達の事を考えてくれた事なんてないんだ。変な奴だと思ってたけど、良い奴だな」
着物を持つ手が震えている。

………どうやらカンクロウの私に対する認識を、改めなければいけないようだ。
変なのはあんただ。

「確かにサエは変な奴だな」
え、テマリ姉さんに肯定された!?
「私達に普通に話しかける時点で、変だぞ」

ニッと笑われた。

頷いているカンクロウも笑顔だ。
我愛羅まで頷いている。無表情でも良い顔だ。



「市場の東の端っこに店出してるから、暇なら来てネ」
抵抗されないのをいい事に、我愛羅の頭をなでなでしまくって帰った(←変態)。









「我愛羅、いつまで見送ってるんだ?」
「もういないじゃん」
玄関に突っ立ったままの弟。
テマリがそっと肩に手を置くが、振り返らない。
「明日…」
小さく聞こえる声は、常日頃の彼のものとは違う。
「任務の後に行ってもいいか?」
相変わらず無表情だ。
けれど、その目が少し揺れている。
「当たり前じゃん」
「みんなでめかし込んで行くぞ」
ぐしゃぐしゃっと短い赤毛を掻き回す。

木の葉に行く前は、弟に触れる事すら戸惑われた。それが今では普通に触れ合える。
テマリにとって、あの中忍試験は父を亡くした忌まわしいものだが、同時に姉弟の再生でもあった。

「やめろ」
撫でていた手を除けられた。少し眉間にシワが寄っている。
「嫌だったか?」
「いや、違う…どうすればいいのかわからない」
胸元を掴んで俯いている我愛羅。この弟は、なんて可愛いのか。
「照れてるじゃん」
からかい混じりのカンクロウの言葉に、我愛羅の眉間のシワが深くなった。
こっちの弟は、もう出来上がってるから仕方ない。
「別に」
「別にって顔じゃームガッ!?」
「ほら、家に入るぞ」
「テマリ?何すーガッ!?」
カンクロウの口を塞いで、さらに軽く小突いておいた。軽ーく。

 
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