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「え…」

その話を聞いた時、私はたぶん、間違いなく、今まで生きてた中で一番嫌な顔をした。

目の前のカカシ先生が傷付いた表情をしたが、まぁどうでもいい。





奈良家にて無事うちは兄弟の対面を済ませた後、私達は日常に戻っていた。

久しぶりの紅班に内心ウキウキ。紅先生に見とれたり、キバと赤丸を生暖かく見守ったり、ヒナタの笑顔に癒されたり、シノと黙々と任務をこなしたり。

あー…、幸せ。

以前よりちょっとだけ任務のランクが上がったが、平和だ。

そんな平穏を、片目銀髪が壊しやがった。










「そんなに嫌?」
「嫌デス!」
即答したら、さらに傷付いたようだ。



いつもの集合場所に現れたはたけカカシ。紅先生と軽く目配せした後、私達に笑顔を向けた。何となく鳥肌が立ったのは、気のせいではなかった。

何の用かと話を聞けば、『うちの班においで』発言。

「はぁ!?」
キバが声をあげる。
「ぇ…サエちゃんが?」
戸惑っているヒナタ。
「あぁ、なるほど」
シノは何故か納得してる。

ナルトが修業に出たため、一人足りないカカシ班。一人多い紅班から補充しようとか何とか。



………なんで!?



「サエ、班編成は基本ー」
「私の先生は紅先生だけデス!」
説得されてたまるか。
私を宥めようとする紅先生に、必死に目線で訴える。捨てないで。
「そんな………捨て犬みたいに見ないで。私だって淋しいんだから」
あぁ、麗しいお顔がもうすでに仕方ないって諦めてる!?
「火影様も了承済みだし、実際うちの人数が多いのは事実だから」
綱手様、何してくれてんの!?
もうすでに決定事項だ。
「ぁ、赤丸も一緒にー」
「だから、赤丸は俺の忍犬だっつーのッ!!」
キバ、ひどい子。

ヒナタも赤丸も紅先生もいないだなんて。いるのは恋する乙女と暴走しがちな取扱注意少年と、何より変態じゃないか!

「あのさ」
話し掛けてきた18禁生物を睨んでしまった。
「うん、睨まないで………実際の任務は少ないヨ。サクラは綱手様との修業があるし、サスケもナルトに負けてたまるかって修業優先だし、俺も任務が忙しいからネ。サエちゃんもいろいろ、時間が取れるほうが良いでしょ?」
最後の方は小声で、意味ありげに。

つまりこれは、ある意味私への気遣いか?
これから先を考えて、私に好きに動ける時間をくれた、と…。



いや、しかしーーー



「ヒナタぁ…」
情けない声を出してしまう。
「サエちゃん…」
対するヒナタも、眉を寄せて悲しんでくれている。
「今生の別れじゃないんだから。いつでも会えるわよ」
紅先生、雰囲気です。
「何か俺、すっごい悪者みたいじゃない?」
黙れ、変態。
近づくな。
さっとヒナタを背後に隠す。

心中で悪態。
口にしない理性はある。

「俺、何でそんなに嫌われてんの?」
「変態だからだヨ!」



「………」



あ、本音出た。

私の理性はいまいちのようだ。



「へ、変態って…俺、何かした?してないよね?ネ?」
目をそらす。
近づいてはイケマセン。
「サエちゃん!?」
「カカシ、あなたこんな子供に何をしたの?」
さりげなく間に紅先生が入ってくれた。
「いやいやいや、何もしてないからッ!」
気づけばシノとキバも、私を庇うように構えている。ヒナタは私が守る!
仲間って素晴らしい。
「ストーカーされました」
「違うから!あれは三代目のお屋敷まで送っただけだからぁッ!」
むしろ根の密偵から守ったと、心中で叫んだカカシ。聞こえるはずがない。

「18禁の本を人前で平然と読んでる男の人って、変態だと思いマス」

言っちゃった。

とうとう言ってしまった。



「………」



「私の前でそんなマネをしたら、燃やしマス」
「………わかったヨ」

変態封印を条件に、私はカカシ班になってしまった。

 
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