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「答え合わせをしてみようか…」

イノ達を玄関まで見送った後、残ったサスケとサクラ、シカマルにへにゃへにゃ笑いながら言う。
この後を思って、ちょっと脇汗。キレたサスケに私が殺されてもおかしくない。

笑ってしまう。



部屋に戻る途中でシカクさんとすれ違った。
目があって、そらしてしまうのは、罪悪感からか。
たぶん、三代目かイノイチさんあたりから、私の事を聞いているはず。
この人は、戦う事を知っている。最悪の事態でも対処出来る人だ。

心中でごめんなさい。
迷惑かけます。



もうそろそろ三代目が来るはずだから、それまで答え合わせ。
どれだけ真実を受け入れられるようになっているかーーー



「じゃあまずサスケ。何でサスケが疑われなかったか、わかった?」
「…調べるまでもなく、何が起こったのか知っていたからだろう」

グッと拳が握られる。

「あの日、家に戻る途中で感じた気配があった。最初はイタチの共犯だと思ったが、そいつは里の暗部か何かで、事件を見ていた。つまり、里の連中はうちはであった事を知ってて、止めたり助けたりしなかった!違うか!?」

静かでも怒りのこもった言葉だ。
サスケの中に、木の葉はうちはを見捨てた説が出来上がったようだ。間違ってはいない。

「他には?」
「は…?他?」
険しい表情が一転。きょとんとされる。
「例えば、実は私が真犯人」
「!?」
「サスケが見たのは全部幻。あの夜の事も…いや、サスケが生まれた時から一族そのもの、全部偽物の記憶だったら?」
「そんなわけはー」
「最悪を想定して戦わないと、負ける。可能性はいろいろあるのに、そのひとつに絞った理由は何?」
「理由は………ない」
眉根を寄せて黙り込んでしまったサスケ。一度思い込んだら抜け出せないところは、なかなか変えられないようだ。

サスケにとって最悪なのは、憎んできたイタチさんが味方である事ーーーそれは、かなしい。



「サクラは?」
一番真相に近いであろうシカマルは最後だ。
「えっと…私も、里の上層部は知ってたんだと思う」
サクラはちらりとサスケを伺いながら、不安混じりに続ける。
「あれだけ大きな事件なのに、目撃者どころか噂もないなんて不自然だもの。里にとって何か隠したい事があったんじゃないかしら。サスケ君に不利な噂がないのは、たぶん三代目が気をつけてくれたから、よね?」

私が一番サスケにわかって欲しい事に気付いてくれた。少しだけほっとする。

「サクラの言う通り、三代目はサスケを守ってた。でも三代目だけじゃない」
「俺は別に、誰にも守ってもらってなんかー」
「サスケ」

思わず出たのは、低い声。

「写輪眼を狙う連中に襲われなかったのは何故?守ってくれる家族はいないのに、サスケが今まで襲われなかったのは、どうして?」
「!?」
「犯罪者の家族として迫害されなかったのは何故?アカデミーに通い続けられたのは?飢え死にしなかったのは?今生きているのは、何故?」

どうか、気づいて。

「里の大人達、特にカカシ先生とか上忍の人達は、何か不自然だって気付いてたはずだ」
そのくらい気付かなければ、忍ではない。
「何もしなかったのは、任務外だから。見過ごすよりなかった………けど何より、残されたものがあったから」

泣きもしない子供がいたから。

「忙しかったとか面倒だったとか、長いものには巻かれろとか…いろいろあるだろうけど。残された子供がいたから、事件の真相よりもその子の未来を優先したんだ」

イタチさんに託された通りに。

 
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