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サスケを見遣れば、ちょっと赤面している。照れ臭いのか。

みんな、かなり恥ずかしい発言したから。よく考えると恥ずかしいヨ?特にネジあたり。チョウジは微笑ましい。

「サスケ、どうかした?」
へにゃへにゃ笑ってしまう。
「………別に」
頭ではわかっているのだ。
自分が助けられた事も、みんなが命懸けだった事も。それが、とても大切な事も。
ただ感情が素直じゃないだけ。
それでも、今のサスケにあるのは、憎しみや怒りという激情ではない。



さあ、言え。

いい加減、言え。
笑顔でプレッシャーをかければ、目をそらされる。チキンな私相手に目をそらすんじゃねぇよ。

「か…」

その口が、小さく動く。
目が泳ぎまくっている。

「感謝はしてる」

クッとか言ってる。
お礼ひとつ言うのに怯んでどうする?
照れてる感じのサスケに、サクラとイノが何やらヤられている。なるほど。これも萌えだ。

まぁ、このくらいでいいか。
あまり追い詰め過ぎては可哀相だ(追い詰めたのは私)。



「ま、とりあえず食べなよ」
何しろヨシノさんのおはぎは絶品ーーー
「もう食べちゃったよ〜」
もうない。
私、まだひとつしか食べてない。アンコのカスの残った大皿を見て落ち込む。チョウジ、ひどい。
「………ごめん。そんな顔しないで」
謝られてしまった。
どんどん食べてと言ったのは私デス。

「やる」
小皿に取り分けてあったサスケの分を差し出された。
「俺は甘いものは苦手だ」
サスケに後光が!?
「拝むな!」
拝みマス。



あぁ、あんこが美味。



「ねぇ、サエ」
サクラとイノに半目で見られる。ため息つきだ。
「空気読んでよ」

空気?

何のために集まったのかと、みんなに見られている。特にネジあたりが。
あはは、スルーしてやる。

「もういいよ。解散で」
「「おい!」」
キバとネジに突っ込まれた。息ピッタリ。
実際『サスケにありがとうを言わせよう作戦』のためだったから、もう用は済んだ。
「帰って修業したら?」
「おまえなぁ…」
キバにため息つかれてしまった。



「あ、サスケにはお客さんがあるから待ってて」
「俺に?」
「ここにか?」
そう、奈良家に。
「家を選んだのは、結界があるからか?」
さすがシカマル。

火影塔とか三代目のお家でも良いが、あまり頻繁に出入りしないほうが良いだろう。すでにやり過ぎた気がしなくもないが。
奈良家は名家。結界つき。
シカマルの家で快気祝いなら、集まっても不思議じゃない。

「その客人、ヤバイ奴じゃないだろうな?」
「三代目とお付きの人」
うわッ、シカマルにもんの凄い不審な目を向けられた。
「ダイジョーブ。シカクさんもいるでしょ?」
「それはつまり、暴れそうにになったら親父も含めて止めろって事だよな?そうだよな!?」
「暴れそうに?」
「主にサスケが」
聞き返してきた本人の名前を出す。
少しムッとされた。

あれ?
大人しい?
噛み付いてくるかと思ったのに。

「…暴れたりしない」

あぁ、サスケはちゃんとこっちを見ている。
少しは冷静になれたと思っていいだろうか。



「僕たち、いないほうが良いんだね?」
状況を察してくれたのはチョウジだ。
頷けば素直に立ち上がる。
「あ、チョウジ。今度焼肉行こう。奢るから」
「ホントッ!?」
見開かれた目がキラキラだ。
「サエ、後悔するわよ」
イノに的確なアドバイスを頂く。しかし、チョウジは頑張ってくれたのだ。
「その時は泣きつくからヨロシク」
サクラとイノの肩を叩けば、嫌がられた。
「ヨロシクされたくないわ!」
「えー…サクラとイノが頼みの綱なのに」
「何でよ?チョウジの焼肉代ならシカマルとかー」
「男子、頼りない」



「………」



「た、頼りなくはない!貯金くらいしてる」
サスケ、ズレてる。
ナルト以上に将来が心配デス。
「お、俺ら…落ち込めばいいのか?」
「クゥ〜ン」
軽く頭を抱えたキバを、赤丸が慰めている。
「いや、違うだろ」
シカマルに至ってはめんど臭いを通り越してきたようで、渇いた笑いだ。
「サエってこんなだったっかしら?」
もっとちゃんとしてたようなと思い返しているイノの腕を、チョウジが軽く引く。
「マイペースなのは確かだと思うよ。行こう?」
「………俺も帰る。言われるまでもないが、修業する」
ネジはたぶん、状況を理解しようとしても無駄だと諦めた(さとりの境地?)。

 
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