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これは、卑怯な方法だ。

サスケを木の葉に縛るために。
『ありがとう』の一言で、木の葉に心を繋げるために。
真実を知っても、木の葉は捨てても、仲間は捨てないように。

自分は守られていたと気付けるように。










本当は、私自身の贖罪のために。










五秒どころじゃない沈黙…



「別に」
口を開いたのは、ネジだ。
「サスケのために戦ったわけではない」
え、こいつ何言い出すの?
「俺はまだまだ弱い。それがよくわかった。だから上に行く。それだけだ」
サスケに向けられた目は、かつてのネジとは違う。

………何カッコ付けてんだよ。

片手にクシ持った状態ですが。おはぎが一口分刺さってますが。あ、食べた。
凝視してしまう。
「何だ?」
いや、何だも何も、あんたが一人スカしてるからですヨ?ネジってサスケ同様カッコ付けだったっけ。



「それなら俺もだな」
おはぎをちょっとだけ赤丸に分けながら、キバはハッと軽く笑った。
「誰かのためなんてガラじゃねぇよ。赤丸に怪我させないようにしただけだ」
「アンッ!」
「任務だし、仲間助けんのは当たり前だろ?」
うん、そうだネ。

「…何でキバの頭撫でてるの?」
サクラとイノから、物凄く不審な目を向けられた。
キバは………諦めたのか、遠い目?
「赤丸、キバをよろしく」
「アンアンッ!」
良い返事だ。
「逆だろッ!赤丸も返事すんな!!」
ここは反論するのか。

ふと、ネジと目があう。

「…ヒナタをよろしく」
「!?」
何驚いてるんだ?
「い、嫌そうに言うな!」
嫌だもの。
マイエンジェルが遠くに行っちゃうみたいでイヤだもの。



「僕も」
思いがけず、チョウジからも賛同の声。
「サスケのためじゃないよ。僕は…仲間が欲しかったんだ」
のろまで落ちこぼれの自分を変えたくて、誰かに必要とされたくて。だから、頑張った。
「シカマルが声かけてくれて嬉しかったんだ。だから頑張らなきゃって」
エヘヘと照れ臭そう。
「もちろんサスケの事、心配だったよ。僕なんかが心配しなくても大丈夫だと思ったけど」
実際大丈夫だったしね、と笑うチョウジに涙が出そう。

「大きくなって…」
あんこのついた口元を拭ってあげた。
「チョウジ、どんどん食べて。もっと大きくなってネ」
「うん!」
「あんた、どこの母親よ?」
イノに突っ込まれた。

「チョウジ、あんたはとっくの昔に仲間でしょ?」
「そうだぜ」
アスマ班が眩しい。

「サエ、何で涙目なの?」
サクラにはこの素晴らしさがわからないのだろうか。



何となくシカマルに視線が集まる。順番的に。

「…俺は任務をこなしただけだ」
あっさり。
シカマルに熱い答えは期待してない。
え、あれ?やばかったはずなのに、こなす発言!?



女子二人は愛のため、だから聞くまでもない。
そう思っていたが、イノが口を開いた。
「わ、私はサスケ君が心配だったわ!でも、戦えないから…」
やや俯いて、落ち込み気味。いつもの勢いが消えかけている。
「私も」
サクラも同じくーーー

「でも!何も出来ないのはイヤ。だから強くなるの!」
違った。
まっすぐだ。
「私だって!」
イノもだ。



あー…眩しい。

 
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