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はじめましてな奈良家。

ヨシノさんは何やらシカマルを叱り付けながら忙しくしている。
「あんた、ぼーっとしてないでお皿とかコップ、出しときなさい。みんな来るんでしょう?」
「あ、私します」
どうかお構いなく。
むしろそっとしておいてください。

まぁ、と嬉しそうに微笑むヨシノさんからお盆を受け取る。今日のおやつはおはぎだ!
さっき息子に向けた時の眉間のシワはない。
「やっぱり女の子はいいわねぇ。それに比べてうちの男どもは…」
縁側にいるシカクさんの肩がビクッてなった。どの家でも母は強い。

そそくさとシカマルの部屋に避難する。

げんなりというか、うんざりというか。ため息を吐く一人っ子長男に、ちょっとだけ同情した。
「………何だよ、その目は?」
「がんばれ」
めちゃくちゃ他人事で言えば、シカマルの顔が引き攣った。
「苦労するネ」
「おまえもその原因だろッ!」
怒られマシタ。





喧嘩しながらも一緒に来たサクラとイノ。大量のお菓子持参のチョウジ。元気に尻尾ふりふりな赤丸とキバ。私のおかげでもう回復しているネジ兄さん(短編参照)。

そして、退院したサスケ。
顔をあわせた途端、睨むのはやめて欲しい。
いや、まっすぐに見据えられた…?

ふいっと目をそらされる。
「何でこいつらがいるんだ?」
こいつらとは、サクラとシカマル以外のみんな。
「サスケ誘拐事件のメンバーだよ」
「その言い方だと私達が誘拐したみたいじゃない?」
「馬鹿ね。私達じゃムリよ」
サクラに突っ込むイノ。
「出来るんじゃない?」
えー?と言う二人にへらりと笑って言ってみせる。

サスケは誘惑に弱いから、コロッと騙されると思う。それはそれで面白そうーーーいやいや。余計に睨まれた。

「ナルトが旅に出たのは知ってるよね。あと砂隠れの三人はさすがに呼べないから」
リーは、あれだ。
漏れなく全身タイツの大人がついて来そうで避けた。ごめん。
「砂隠れ…我愛羅か?」
「助けてくれた。お礼言わないとネ?」
お礼の言葉に、サスケの表情がわずかに固まった。



こいつ、やっぱりまだ言ってないな。

「サスケ?みんなに言う事は?」

思いっきり渋い顔された。
ありがとうくらい言えヨ。



「チッ…」
「「「舌打ち!?」」」
思わず出てしまった。
何人かに突っ込まれる。

「やっぱりサエって、時々口が悪いね」
お菓子をもしゃもしゃ食べ続けているチョウジ。
「口が、てゆーかガラ悪ぃよ」
キバの言葉に赤丸が頷いているのが見えて、ちょっとだけ傷ついた。
視線を感じて見れば、ネジに警戒されていた………あぁ、ネジ相手にキレたのが随分昔に思える。



「さて」

本題にーーー

「ヨシノさんのおはぎは美味しいねぇ」
手作りのおはぎを美味しく頂く。大皿に盛られているのはチョウジがいるからだ。
「おい」
あ、サスケの眉間のシワがひどい。
「話しをー」
「やだ」



「………」



「ありがとうも言えない奴に何かを教えてあげるなんて馬鹿らしい事しません」
どうしてたった一言が言えないのか。意地を張って、一人きりだと思って生きてきたからか。

でも、サスケはずっと守られてきた。

「私に言う必要はないんだよ。でもみんなには言いなさい。サクラとイノも頑張ったんだ。一度で済むように集めてあげた。ほら、五秒で済むヨ。ハイ、ドーゾ!」

完全に羞恥プレイだが。

 
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