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意外と気付かれない。
よし、行ける!

木の葉病院にて、私はとある任務を遂行していた。いや、任務じゃない。



ノックの返事を待たずに、私は病室の戸を開けた。

「はぃ…ってサエ?」
病室の主、キバはベッドの上で起き上がって、何やら読書中。茶色く日焼けた感じの古い本。

え?
キバが読書?

「何読んでたの?」
「え、いや、別に」
何だ、その慌てようは?
「………怪しい」
「な!?」
いやらしい本でも見てたのか?入院中の癖に。
うわ、軽蔑する。
赤丸が汚れる。
「俺が本読んでたら悪いかよ?」
ぐいっと突き出された本のタイトルは『忍犬の鍛え方』。真面目な書物だ。
「俺だってたまには勉強すんだ。入院中、暇だしよ」
「あー…ごめん」
勉強しているところを見られて、照れたのか。

「ん?おまえ、俺の家に寄ったのか?」
「うん、そう」
鼻をひくつかせるキバ。お家の匂いがするのだろう。特に赤丸の匂いが。
「また赤丸に肉やったのかよ」
ちゃんと匂いは判別出来ているが、発生源はわからないのか?
「出ておいで」
私は自分の背中に声をかけた。

もぞもぞっと出てきたのは、小犬ーーー赤丸だ。

「アンッ」
「!!」

ベッドに飛び乗る赤丸。尻尾ふりふり。キバの手にすりすり。



かわえぇ〜…。

赤丸を見てニカッと笑うキバも可愛い。

良い子だぁ。



「連れて来てくれたのか」
前に連れて来てもらったからネ。

しばらくじゃれあう一人と一匹。カメラがないのが残念デス!

萌え補給は大切だ(←アホ)。



「おやつあるけど食べる?」
「アンアンッ!」
良い返事だ。
懐から取り出した茶色い袋ーーーもちろんビーフジャーキーだ。
前回同様、ハート柄のお皿にビーフジャーキー(犬用)を入れて、キバの膝の上に置く。抱っこされたまま食らいつく赤丸の尻尾が振り過ぎでちぎれそうだ。
「………おまえ、本当に赤丸が好きだな」
愚問だ。
ビーフジャーキー(人間用)をかじっているキバの頭をなでなで。
「キバも良い子だネ」
「俺は犬じゃねぇッ!」

キバの叫びと同時に、ノックの音がした。



やって来たのは、シノ。



「………」



素早く入って、戸を閉めてくれた。

これが大人だったら、赤丸を連れて来た事を叱られる。

「邪魔をしたか?」
「いや、全然」
キバの頭に乗せたままの手を離す。
「そうか…これは家から、お見舞いだ」
「お、サンキュ」
油女家からのお見舞いの袋を、キバに手渡す。
そう言えばシノは今回の任務に参加できなかった事をずっと根に持つんだっけ?
「サスケが誘拐されて、大蛇丸の手下と戦ったと聞いた」
「あぁ、俺がぶっ倒してやったけどな!」
「アン!」
赤丸が頷いている。

………カンクロウのおかげじゃないのか?

「…いや、砂から増援が来てくれてよ」
私の眼差しに気付いたのか、キバは目をそらして言い直す。
「サエ、キバが可哀相だ。何故なら仲間から軽蔑されたらいたたまれない」
「軽蔑っていうか、調子良いなって思っただけ」
「それを軽蔑とは言わないのか?」
「たぶん…」
「ちょ、おい、おまえら!俺だって精一杯やったんだッ!!」
うん、知ってる。

その後、キバの叫び声に気付いた看護士さんがやって来て、赤丸を連れ込んだ事がバレてしまった。

 
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