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シカマルに会った。
そりゃもうばったり、偶然に。

私の手にはネギの突き出たお買い物袋。
シカマルの手には大根の突き出たお買い物袋。

忍者と言えども、日常生活はある。



「………」



何となく目をそらしてしまったのは、私。
「おい」
肩捕まれた。
逃げられない。
「勝手に俺を巻き込んどいて逃げるなよ。あの後めちゃくちゃ気まずかったんだぞ。ナルトとサクラは追い掛けてくるしよ」
「え、逃げたの?」
サスケから逃げたな。このへなちょこ野郎。頼れとか言った癖に。
「当たり前だろ。そう簡単に言える事じゃねぇ」
まぁ、代々この里に仕えてきた奈良家だ。その根本を疑いたくはないだろう。
「とりあえず知らねえってごまかしたけど。今頃サスケも気付いてんじゃねぇか?」
ナルトは論外。サクラは真面目だから裏を読むのは難しい。
思い込みさえなくせば、サスケはすぐに気がつくはず。
「あー…じゃあサスケが退院したら、奈良家で快気祝いしよう?」
「家で?」
奈良家なら多少危ない話しても安全だよネ?
「…後でちゃんと説明しろよ」



「めんどぃ…」
つい本音が。

「オイッ!?」
突っ込まれた。

「シカマル」
ぽんっとその肩を叩く。
「もしサスケが暴れそうになったら、止めてネ」
影縛りで。
「は?」

へにゃりと笑ってすれ違った。

「え?はぁッ!?おまえ、まさかそのために俺を巻き込んだのか?」
背後から叫ばれる。
「えー…たぶん成り行き、じゃなくて頼りにしてるから、かも?」
「疑問形かよ!?」
ツッコミが冴えてるなぁ。

これで万が一サスケが親の敵とか言って木の葉に攻撃しかけてもダイジョーブ。
あ、イタチさんに止めてもらえばいいか。クロシロもいるし。

まぁ頑張れ、シカマル!





イタチさんが動けるようになるまでに気付かなかったら、とりあえずサスケを殴ろう。

………いや、イタチさんに殺されそうだ。やめよう。










お家に帰った私は、ガサゴソと買物袋を漁っている。
ネギとか豆腐とかじゃなくて…あ、あった。

薄茶色の包みを懐へ。

買った物はきちんと冷蔵庫にしまって、私はうふふと笑いながら犬塚家へ向かった。





キバの家から出てきたのは、お姉さんーーーハナさんだ。
「あなた、キバと同じ班の…」
「錦サエです。赤丸いますか?」
弟さんと違って聡明そう。いや、確実に頭良いはず。なんて口にはしない。私にも礼儀とか礼節とかあるから。
「赤丸?いるけどー」

「アンッ!」

愛しい子犬の声は、何故か私の背後から。
「こら、赤丸!待ちなさい。まったくキバと同じで落ち着きがないね!」
「アンアン、クゥ〜ン」
「何急に甘えた声出してー」
「お母さん、お客さんよ」
「え?」
ハナさん、ため息交じりだ。苦労してますネ。

どうやら赤丸はお母さんと庭に出ていたらしい。
その腕に抱えられて、ジタバタしている。

元気な赤丸。
尻尾ふりふり。
手足もぞもぞ。



か、可愛い………鼻血がッ!
鼻血でる!!



「キバと同じ班の錦さんよ」
「はじめまして」
心中悶えつつ、ぺこりと頭を下げる。
「え、あぁ、キバがいつもお世話になってるみたいで…」
えぇ、まぁ、それなりに。
「悪いけどあの子今入院してて」
「はい、知ってます。赤丸かしてください」
「赤丸を?」
「アンッ!」
ついにお母さんの腕から飛び出した赤丸。もちろん受け止めました!



あー…

至福だ。



懐の匂いをクンクン嗅がれているが、気にしない。
「少し出かけていいデスカ?」
「あ、あぁ…いってらっしゃい」

さすがにお姉さんとお母さんの前でエロ親父化できない。
人目のないところで撫でまくろう。

 
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