2

□27
3ページ/4ページ


表向き引退した三代目。
立派なお家に躊躇なく入る。お屋敷なら日向家で慣れているから平気だ。むしろ気にしない。

「おぉ、サエ。怪我をしたと聞いたが………自分で治したか」
「まぁそんなところデス」
「医療忍術ですべて治るわけではないぞ?」
「そうですよネ。サエちゃん、きちんと休んで治さないとダメだ〜ヨ?」
まるで小さな子供に言い聞かせるように、カカシ先生に頭を撫でられた。ちょっと鳥肌。

「………ウザイし、キモい」

出てしまった言葉は、三代目には聞こえなかったようだ。
「カカシは何を落ち込んでおるのだ?」
「さぁ?」
心当たりはあるが、スルー。





流石と言うべきか。イタチさんはすでに布団の上に体を起こして座っていた。
一週間は冷凍マグロじゃなかったっけ?
動けないうちはイタチというのも見物だと思ったのに。そこにサスケを連れて来たら面白そうーーーいやいや。

「イタチさん、起きても平気ですか?」
「少しなら問題ない」
「お団子持って来ましたけど、食べれます?」
「あぁ」
十本入りを箱ごと膝の上に乗せてあげた。

イタチさんの手が、若干震えている。



「………」



うん、面白いけどビミョー。

まず箱を開けるのに一苦労している。指先の細かい動きまでは回復していないようだ。ちょっと意地悪して包装したまま出したけど、開けてあげよう。
何かこう、笑っちゃいけない空気だ。
イタチさんを笑ったら、命が危ない気がする。何となく。

一串差し出せば、震える手で受け取った。
これがサスケなら、おじいちゃんみたいだと遠慮なくへにゃへにゃ笑うのだが。
黙々と食べはじめたイタチさん。あ、ちょっと笑顔。



こっちはこっちで、三代目とお茶を啜る。ついでにカカシ先生も。

「サスケは入院中です。退院したらこっそり会いに行きましょう?」
お団子を頬張ったままこくりと頷くうちはイタチ………シュールだ。笑えるのか笑えないのかわからない。

笑ったら睨まれるだろうか?
命懸けで笑ってみようか?
いや、命は惜しい。



私がくだらない事を考えている間に、お団子一箱は消費された。

目があって、一言。
「一生分…」
うわ、マジだ。
木の葉の甘味屋に全面協力してもらわなきゃ。
「イタチさんにとっての一生分と、世間一般の一生分とは、大きく隔たりがあると思います」
私が言ったのは一般常識での一生分だ。
「また持ってきますから」
私のお給金の許す範囲で。
「何?一生分って?」
聞いてきたカカシ先生は無視した。

「イタチさん、申し訳ないんですがしばらくは隠密です」
「別に構わない」
「あぁ、再不斬や白みたいに暗部だ〜ネ」
あ、カカシ先生めげずに話し掛けてきた。
「…とりあえず正体がばれないように変装してください」
「変装?わしの側付きの暗部にすれば良いじゃろ?」
暗部ならお面があるし、素性は問われない。
「万が一お面が取れた時のために。変化は通じない相手がいますから」
「確かに写輪眼や白眼が相手だと、地味に変装の方がいいネ」
あ、また。
とりあえず目は合わせない。
「……あまりチャクラは使わないでください。ばれますから」
「あぁ、わかった」
「イタチなら体術だけで十分強いからネ!」

「………ソーデスネ。カカシ先生ズタボロですもんネ!」



「………」



「カカシや。おぬしサエに何かしたのか?」
「わかりません…」
三代目がカカシ先生を慰めているが、見てはいけない。



「あ、ちゃんと綱手様に診てもらってくださいね」
「………」
「イタチ?どこか具合が悪いのか?」
「病気デス」

一瞬、空気が固まる。

「では、近いうちに綱手を家に呼ぼうかのぅ」
「いえ、それはー」
「ちゃんと診てもらってクダサイ」
つまらない意地を張るな。
間違いなくサスケと兄弟だな。

 
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ