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「あ、どーも」

すれ違った大人に軽く頭を下げる。
そのままスルー…したい。

「カカシ先生、離してください」
「ん〜?」
首根っこを捕まれている私。前に進むと首が絞まる。
その原因は、はたけカカシ。首を傾げてごまかそうとしているのか、トボけた振り。
全く可愛くない。
キモい。
やめて欲しい。

「それは?まさか飲むの?」
指差されたのは、私の腕の中の物ーーー抱えられている一升瓶だ。
「届け物です。離してください」
「お酒って事は綱手様だネ。俺も行くよ」
「はぁ…」

綱手様を訪ねに行く途中で、カカシ先生に捕まった。



まぁ、あれだ。
この人もいろいろ事の次第を知りたいはずだ。

………役立たずだったけど。



改めてクロシロに感謝の念を送っておいた。










やはりというか何というか、火影様はお忙しい。
執務机の綱手様には、うっすらと隈が…あれ?予想以上に忙しい?

「サエか」
「あのぅ、お忙しいならまたー」
「いや、来い」
その鋭い目つきに、思わず後退る。カカシ先生の足を踏んだ。



…ど、どうしよう?

綱手様、怒ってるッ!?

心の中で遥か彼方に逃げ出している私。ギロリと睨まれる。

ヒィイッ!?

サスケ誘拐事件でパニクッてたとはいえ、胸ポロリしちゃったから怒ってるかも、って思ったけど相当怒ってるー!!
思わず一升瓶を抱きしめる。
ご機嫌伺いのお酒は無意味デシタカッ!?



「サエちゃん、何で俺の後ろに隠れてるの?」
いや、もう、女の怒りは恐ろしいんデス。

置いてあった湯呑みのお茶をグイッと飲み干した綱手様は、ソファのほうに倒れ込んだ。
「あぁ〜…」
確実に女ではないため息。どうやらかなりお疲れのご様子だ。
ソファで横になったまま、お饅頭をもそもそ口にしている。
うん、女じゃない。



………怒られる雰囲気じゃない?



「お疲れ様です」
とりあえず声をかけてみる。
「あぁ、全くだ。おまえのしてくれた事でな」



「………」



「ねぇ、俺を盾にしないで?」
思わずカカシ先生を前に突き出してしまった。
「綱手様も睨まないでください。サエちゃんのせいじゃないでしょう?」

カ、カカシ先生が役に立った!?

「まぁ、そうだが…大蛇丸の後始末だよ」
理解出来ないでいる私に、端的に教えてくれた。
「君麻呂、だったか?捕らえた奴からアジトやら実験施設やらの情報を取り出した」
なるほど。
大蛇丸のアジト解放が三年早まって、その対応に追われているのだ。それに加えてサスケ誘拐。忙しいはずだ。



胸ポロリ事件は一切気にされていないようなので、触れないでおこう。わざわざ藪をつついてはいけない。

「これどうぞ」
「お、気が利くな」
差し出されたお酒に一気に上機嫌になった。
あー…良かった。火影様を敵に回したら木の葉で生きていけない。

あ、そうだ。

「確か、呪印のもとになった人がいるんですけど」
「もと?」
「ジューゴとか言う人です。アジトのどこかにいるので保護?してください?」
「何で疑問形なんだ?」
「えー…、暴れると思うので」
二重人格だ。
いい加減うろ覚えだが、味方は多いほうが良い。
アンコさんとかの呪印、何とかならないかな?

香燐は言わなくても木の葉に来る。サスケの名前を出せば絶対、間違いなく来る。

「あ、再不斬さんの首斬り包丁もあるかもしれません」
大蛇丸がいつ手に入れたかはわからないが、原作では水月が持ってーーー

「本当か?」
うわッ、クロが出て来た!
勝手に出て来たヨ!?
「波の国に取りに行った時にはなかったんです」
シロまで出たッ!
「た、たぶんデス」
この人達、行く気だ。
間違いなく探しに行く。

………すでに水月が持って行ってたりして。

 
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