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病室の隅で何やら言われているが、気にしない。
気にしたら負けだ(?)。

「で、サスケ」
顔色が悪いのは、きっと怪我のせいだ。いや絶対、怪我のせい。
「これからどうするの?」
「どうって…」
「まさか何処かに行くとか言う?行かないよね?木の葉にいるよね?ネェ?」
大蛇丸も四人衆(五人?)もいないから行くあてはないが、これで出て行かれたら堪らない。
今のところ、サスケはさらわれた事になっている。途中から出ていく気満々でした〜なんてバレたら、処分対象だ。大人しくしてもらわなければ困る。



「………サエ、無理矢理はやめろよ」
シカマルが口を挟んできた。その顔がちょっと引き攣っている。まぁ確かに、無理矢理では意味がない。
「そうだネ。サスケ、自分の無能さがよ〜くわかったと思うけど、本当にこれからどうするつもり?」
若干言葉に棘が出ちゃうのは、仕方がない。

「サスケ君が無能だなんて…」
何故かサクラが壁に向かってうなだれている。



思案しているのか、サスケの目線は天井あたりをうろうろしている。

「………強く、なる」
うん、それも重要。
でも私の言いたい事とはズレている。
「調べなおしたら?」
「は?何も出て来ないだろ?」
「サスケ一人じゃね。でも何人かなら、少しは情報が手に入るかもしれないでしょ?特に頭の良い人とか、意外性のある人とか」
サクラとシカマルを見て、ナルトを見る。
もの凄ーく嫌そうな顔をしたシカマルはスルー。大人しく巻き込まれろ。



少しで良い。

ほんの少しで良いから、自力で気付いてくれなくては、意味がない。そうでなくては、真実を目の前にしても、きっとサスケは受け入れられない。

もうすでに、イタチさんは木の葉にいるのだ。

そしてその時に、誰かがそばにいてくれればーーー



「ヒントをあげる」

誰かを頼るのは、サスケの意地が許さないだろうけど。そんな意地は犬猫にでもくれてやれ。

「サスケは被害者だけど、犯人の弟だ。疑われなかった?」
「疑う?」
まるでわからないという顔だ。今まで信じ込んできたものを覆すのは、難しい。
「共犯じゃないかとか、兄を匿ってないかとか」
「なっ!?そんな訳無いッ!」
「普通は取り調べられるんじゃないの?噂くらいないとおかしい。それが全然なかったなんて、おかし過ぎると思わない?」

知っていたから。
木の葉はあれが任務だと、初めから知っていた。取り調べなんて、不要。
イタチさんと三代目に、やり方はともかく、サスケはずっと守られていたのだ。

「どーゆう事だ?」
ナルトは首を傾げて、ハテナマークを飛ばしている。
「取り調べも何も、サスケ君は被害者なんだから…?」
サクラは考えているが、答えにはたどり着いていない。
二人とも詳しく知っているわけじゃないから、仕方がない。

唯一、眉間のシワを深くしたシカマルの顔が、青ざめていく。頭が良いのも、考え物だ。
「まさか………」
信じられないとこちらを向く。
「シカマル、何かわかったのか?」
「いや、…そんな事は」
サスケの問い掛けに、答えられない。
「まさかそんな…サエ、いくらなんでもー」
「たぶん、シカマルの予想は当たってるヨ」

あぁ、ショックを受けている。

当然だ。

口を開けたり閉じたり。言いあぐねているシカマルに、心中で謝罪する。彼らが真実を知るのは、ずっと先のはず。



「退院したら、うちにおいで?」

まだわからないでいる三人と、呆然とした一人を置いて、病室を出た。

 
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