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眩しー…



再び訪ねたサスケの病室。
私はその眩しさに目を細めた。

「私、強くなる」
サクラが高らかに宣言していた。
「今度何かあったら、二人に頼ってばかりじゃなくて、私も戦う」
その目の真摯さに、敵うものなんてない。
「ちょっと遅くなるかもしれないけど、待ってて」
待ちます。
待ちますとも。
うんうん頷いてしまった。

あー…、おばさん泣いちゃう。

眩し過ぎる。



「へへ…」
サクラのおかげか。ナルトの顔が、目が、常の明るさを取り戻している。
ビシッとサスケを指差して言った。
「次は勝つッ!」
指差された方は、フンッと鼻で笑った。ベッドに寝たままカッコつけるってどーよ?
「無理だな」
「ムッ、サスケが寝てる間に修業して、強くなってやるってばよ」
「俺はもっと強くなる」
「俺のほうが強くなる!」
「ちょっと、ナルト!サスケ君のほうが強いに決まってるでしょ!」
サクラのパンチが、ナルトにクリーンヒット。壁にめり込んだ。すでに怪力の片鱗が………私程度の医療忍術、あっという間に追い抜かれる。



この三人、これじゃなきゃ駄目だね。
やっぱり一緒にいなきゃネ。



「めんどくせー奴ら」
静かに事態を見守っていたシカマルが、心底呆れたように呟く。でもその顔は笑っている。

………ついさっき自分も恥ずかしい事言った癖に。
うん、思い返すとかなり恥ずかしい。数年後に若気の至りとか思って、きっと歳とったら笑い話になるんだな。

おまえもだ、と意味を込めてシカマルの背中を押した。
隙だらけデス。
「おわッ!?」
ベッドに衝突。
とゆーかサスケにダイブ。
「うぐッ!」
軽く悶絶するサスケ。
「シカマル!?」
「サスケ君、大丈夫?シカマル、あんた何すんのよッ!」
「いや、今のはサエがー」

四人が私を見て固まる。
私の笑顔が、何か?

「ねぇ、サスケ?」
「な、何だ?」
サスケはちょっと涙目だが、そんな事一切気にしない。
「シカマルに何か言う事は?」



「………」



ありがとうを言ってくれるんじゃなくて、無理矢理言わせるんじゃねぇか。
シカマルの心の声は、間違っても音にならない。

「サスケ?」
固まったままのサスケにもう一度声をかければ、目をそらされる。

チッ、この強情め。

「おい」
低い声で呼び掛ければ、今度はギョッと見開いた目と目があう。他三人は、ズサッとベッドサイドから退いた。
「ありがとうとかごめんなさいとか言えないくだらないプライドなんて、捨ててしまえ」
そもそも名門一族なんていうプライド、何の役にも立たない。
「俺様もたいがいにしろヨ。さらわれるってお姫様かよ?あぁ、違う。坊やだネ。お坊ちゃん?うちはって言う有名過ぎる一族であれだけ大きな事件だったのに、何にも出て来ない?そんなワケあるかッ!意図的に消されたとか思えよ。お坊ちゃんは自分の頭で考えられないの!?あはは、バッカじゃない?」

人間、怒り心頭すると、笑っちゃうようだ。
勝手に里抜けしようとしたサスケを、私は全く、これっぽっちも、1ミリだって許していない。
坊やだからさ(←意味不明)。





「ねぇ、誰か止めてよ?」
「無理だろ。中忍試験の時よりキレてんじゃねぇか?」
「サエは怒らせちゃダメだってばよ」
病室の隅、避難した三人は小声で話す。
「サスケ君、怪我人よ?」
中忍試験でのサエを見ていないサスケは、相当驚いているはずだ。いや、驚いている場合じゃない。
「怒らせた奴が悪いってば」
「で、でも…」
「それならサクラ、おまえが止めろ」



「………」



「む、無理だわ………ごめん、サスケ君。私、なんて無力なの…」

ついさっき、まっすぐにサスケを見ていたサクラが、うなだれていた。

 
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