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キバの病室を見渡す。
特に床のあたりを。
いない…?
「…赤丸なら、家で姉ちゃんが診てるぞ」
横になっているキバから、ため息混じりに呆れられた。
原作よりもずっと軽傷だった赤丸。小さな温もりがないのは大変残念だが、何よりだ。
今度は量より質で、良いお肉ご馳走しよう。
「おい」
「何?」
赤丸の代わりに、キバの頭をなでなで。
ベッドに寝たままのキバは、怪我してるし点滴もあるから、あまり動けない。抵抗はないが、ものすごーく不服そうだ。でも気にしない。
「俺は赤丸じゃねぇぞ」
「うん、そうだね」
私は子供の頭を撫でてるだけだ。キバ相手に遠慮なんてしない。いい加減、萌え不足で限界なんデス。
見上げてくるキバ。
ーーーか、可愛いっ!?
キバが可愛い!!
えぇえッ!?
ふて腐れたような感じが何とも………うわ、新しい癒し発見!
とは言え、私にも恥とか外聞とかある。セクハラにならないうちにやめる(もう遅い?)。
あ、赤くなってる。
クソッ、何て可愛いんだっ!
キバの癖に!
「キバ」
へにゃへにゃ笑う私。完全に変態だが、気にしない。
「ありがとう」
「な、何がー」
すっかり変態な私に、キバは何やら焦っている?身の危険を感じたか?
「色々、ありがとう」
強くなってくれた子供達。
私の独りよがりの言葉を、きちんと受け止めてくれてありがとう。
生きていてくれて、ありがとう。
さて、そろそろあの二人は仲直りしているか?
めんどくさくなって放置しただけだが…
「サエ?おまえ、起きて大丈夫なのかよ?」
廊下でシカマルに会う。
お見舞いか?
ちょっと目が赤い…あ、あれか。テマリとお父さんに叱咤激励されて泣いた?サスケ奪還、失敗じゃないとは言え、みんな傷ついたから。
シカマルも、ちゃんとまっすぐ成長している。
その勢いで、どんどん成長してください。
「うん、大丈夫」
へにゃへにゃ笑った顔のままの私を見て、シカマルの眉間にシワが寄った。
何故?
この顔が気持ち悪いとでも?
「おまえ、無茶しすぎだ」
え?
「何があるのか知らねぇけど、もうちょっと他を頼れよ?俺らだって………まぁ、強くなっからよ」
「………」
思わず、ぽかんと見返す。
「マヌケ面」
「え?ぁ、あー…、うん。ありがとう」
子供達は、私が思うよりずっと聡い。
ずっと強い。
やだな。
泣きそうになっちゃうじゃないか。
おばさん、子供達の成長に涙腺ゆるゆるデス。
…何でシカマルに頭撫でられてるんだ?マジで泣く前に頭をずらす。
私がチビなのが悪いのか?
「シカマル、サスケがありがとうってお礼言ってくれるよ」
「サスケが?マジかよ」
信じられないのはわかる。でも言わせてやる。
「これから行くけど?」
「あー、じゃあ行ってみるか」
しっかり歩いていくシカマル。中忍ベストは伊達じゃない。
私なんかが心配しなくても、みんな強い。みんな大人だ。一部(サスケ)除くが。
「今のシカマル、イケてる」
「は?」
「イケてるかイケてないかで言えば、イケてる。かなりね」
「…そうかよ」
ふふふ、照れてる。
あー…、もう。
みんな、可愛いじゃないか。