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そもそも、私は私のために動いているのだ。

私自身の平穏のために。

お礼なんて、いらない。





未だに無言のサスケ。
窓の方、そっぽを向いたまま。

「…何も出て来なかった」
え?
「おまえの言った通り、色々調べた。でも何も出て来なかったんだ」

だから、焦った。

目の前でどんどん強くなっていくナルトに焦った。
短冊街でイタチに目もくれられない自分に焦った。
サエに言われて調べても何ひとつわからなくて焦った。

大蛇丸の手下達にボロボロにされて、強いつもりでいた自分が、ひどく惨めだった。だから、目を覚まして手に入れた強大な力に浮かれた。これで、あいつと戦えるーーー

後悔したのは、サエを見てから。
怒りも制止も、一言もない彼女に、見捨てられたと思った。

思い出して泣きそうになるのをごまかそうと、眉間にシワを寄せた。
誰も必要ないと思っていたのに、向こうから見捨てられるのは、こんなにつらいーーー










こちらに目もくれないサスケ………ムスッとされても、可愛いが、何の解決にもならない。
可愛いが。



あー…、可愛い。
ダメだ。

私、鬼にはなれない。
イタチさん、尊敬します。あなたは凄い。



「ナルト、座って」
立ちっぱなしのナルトを、サスケの前に座らせる。
「とりあえず、仲直りしなさい」



「………」



さっさとしろよ。
めんどくせぇ。

「チューまでした仲の癖に」
嫌な思い出を口にする。
ナルトもサスケも、思い出して青ざめている。あ、ナルトにまでダメージを与えてしまった。
「おまえ、それは忘れー」
「仲直りしたら、教えてあげる」
「なっ!?」
ニヤリと笑ってみせる。

ふふふ、こっちは情報っていう武器を持っている。弱ってる子供相手になら、強気だ(←最低だって)。

「今、何処か、とかネ」
「!?ーーーうッ、ぐ…」
勢い起き上がろうとして、苦痛に堪えるサスケ。まだまだガキだ。
「サ、サスケ!?大丈夫か?」
おろおろしてるナルトは可愛い…って、とりあえず今は萌えている場合ではない。

「私、まだ行くところあるから、また来る」
後はもう二人で何とかして。
次行こう、次。
「えぇ、サエ?待つってばよ!?」
「あ、サスケ」
ナルトの制止を無視して、サスケに振り返る。
「ありがとネ」
「は?何をー」
「私とナルトを、イタチさんから守ってくれて、ありがとう」
「!!」
サスケは、イタチさんから私とナルトを守ろうとしてくれた。
大蛇丸の力を頼ってでも。
憎しみのほうが多かっただろうけど。
「じゃあ、また後でネ」

二人で何かしら良い化学反応起こして、仲直りしとけ。



あー、もう、めんどくさ!

私はさっさとお家に帰りたいんだッ!(←間違いなく本心)










チョウジの病室には、すでにお見舞いのフルーツのカゴ。そしてすでに皮と芯だけだ。
すやすや寝てる。
丸い頬っぺたをツンツンしてみた。柔らかー………いや、起こしちゃダメだ。

私がポロッと言った『強くなって』を、きちんと受け止めてくれたチョウジ。
「ありがとね」
今度、焼肉奢るよ。










ネジの病室には、疲れた顔をしたシズネさん。
…彼女がいなかったら、もしかしてネジは危なかったのだろうか?
「サエさん、起きて大丈夫なんですか?」
あなたの方が大丈夫ですか?何だか目の焦点があっていないような…ちょ、危険だ。ふらふらしてる。
「ネジなら大丈夫ですよ。もう安心です。私も休みます」
休んでください。
今すぐ、ぐっすり休んでクダサイ。

ふらふらな背中を見送った。



寝ているネジ。

とりあえず赤みのある頬に、ほっと息を吐いた。
ツンツンしても、チョウジほどの柔らかさはない。当然だ。

あー…、ヒナタに会いたい。

 
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