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方法は、他にもあったと思う。

ただ、チキンな私の頭では、思いつかなかった。

私の思いつきで、誰かを犠牲に?
そんなの、無理だ。
怖すぎる。





サスケには、木の葉にいて欲しい。
そのためには、説得する?いや、あの子馬鹿だからーーーいやいや。ある意味素直すぎるから。

だから、蛇退治。





一生分の勇気を使った。

だってもう、後悔したくない。
もう目の前で、誰かの死を見たくない。



だからネ?
後は子供達、頑張って?










綱手様の治療を受けた私は、とりあえず近くの宿屋に寝かされているようだ。
目を覚ませば、木目の天井に、簡素な部屋。

そして、ナルト。
今にも泣きそうな顔をしているナルト。

ベッドから手だけ伸ばして、その金髪をなでなでした。
「サエ…」
あー…、泣いた。
鼻水垂れるよ。

ベットサイドにあるティッシュを取ろうして、両手が包帯でグルグル巻きだと気づく。
………雷遁で火傷したんだ。
思いっきりやり過ぎたようだ。このくらいじゃないと蛇には効かないだろう。

「ナルト、ティッシュ取って?」
「ぅ…おうっ!」
箱ごと枕元に置かれる。
ちょっと掴みづらいが、数枚取って、ナルトの鼻水を拭いた。

うわっ、糸引いた!

「サエッ、何で…」
何でって、鼻水降らされたくないから。

やだな。
喜んじゃうヨ?
おばさん、人の情けが身に染みまくり。

「目、覚めたらサエが寝てて…顔真っ白で」
「うん…」
「串刺しになったって聞いて…」
ほらほら、鼻水拭いて。



再不斬さんも白も、綱手様もいるから、最悪の場合でも大丈夫だろう。そうタカをくくった。
そして実際、大丈夫だった。
アカデミーのおかげか、紅先生のおかげか。私もすっかり忍者だ(決して父の刷り込みではない)。やりたくなかった方法だけど。

…いや、綱手様と自来也様がもっとしっかりしてくれてれば、私が怪我する必要なかったんじゃあ………ハッ!?暗部、もっとたくさん借りれば良かった!?
いや、ダメだ。大掛かりな事したらダンゾウにバレる。



………マズイ。

私の事、カブトにばれた!どうしようッ!?



「落ち着いた?」
しばらくして泣き止んだナルトは、私の言葉にコクリと頷く。
「サエ、何でこんな無茶したんだってばよ?」
いつも無茶苦茶やってるナルトに言われてしまった。
「色々………うん、色々あるんだよ」
安全とか安心とか、静かな生活とかのために頑張ったんだ。もう一度木の葉崩しとか戦争とか、無理。絶対ムリ!私、良く頑張った!!
「色々…」
笑う私に、ナルトはそっかと返した。たぶん、木の葉とか仲間とか、ナルトにとって大切な人達とその場所を、思い浮かべているんだろう。
「でもだからって、サエが死んだりしたら駄目だってばよ」
「死なないよ」
はっきりと、言葉にする。

「私、死なない」

生きる覚悟で戦うのだと決めた。必ず生きて、笑う。英雄になんてなるものか。



木の葉のために?

子供達のために?



あはは、まさか。

私自身の平穏のために。





だから、ナルト。

笑って?



金髪を撫でて、にっこり笑う。
「強くなってね」
「!」
「カカシ先生も自来也様も、指一本で倒せるくらいに」
「………おうっ!任せとけってばよ!」



早速修行だなんて。少し休んでからにしようよ?
まぁ、ナルトだから。
元気に出かけるナルトの背を、ベットから見送った。










「…で、イタチさんは覗きが趣味ですか?ついでに鬼鮫さんも」
「気づいていたのか」
「またついでですか…」
いつの間にか、ベットサイドにイタチさんと鬼鮫さん。
クロシロがコソッと教えてくれました。私じゃあなた達の気配はわかりません。
「俺の協力など、必要なかったな」
どこかから見ていたのだ。一ヶ月後、短冊街って言ったから。
「ピンチになったら、助けてくれると思って期待してました」
「嘘をつけ。おまえは己自身ですべてを始末する方法を選ぶ人間だ。違うか?」
「それは、イタチさんです。…帰って来ましょうよ?」
相変わらず、憂いという言葉がピッタリな顔を見上げる。ちょっと欝陶しいな。髪切れば?
「ついでー」
「ついではやめてください」
遮られた。
「チッ…」
「舌打ちッ!?私、あなたに何かしましたか?」
あれ?
何か鬼鮫さんに対してあまり警戒心がないな?大仕事した後だから、気が抜けてるのか?

………今攻撃されたら、確実にマズイ。クロシロいるけど、もの凄い危ない状況じゃないか?ちょ、イタチさんはともかく鬼鮫さんは危険だ。
何で近づけたの!?

「鬼鮫サンモ是非、木ノ葉ニ来マセンカ?」
「鮫肌を見て言いましたね」
バレバレだ。
鬼鮫さんの背中でモゾッと動く鮫肌がラブリー。
「撫でたーい…」
思わず煩悩が漏れる。
包帯の巻かれた手を伸ばすが、届かない。
「ギィ…」
ちょっと背中から出て来た!
「…怖くないんですか?」
「鮫肌は可愛いデス!」
クッ、もうちょっとで触れそうなのに。
「そうではなくて………いえ、いいです」
ため息つかれた。
何故?

「イタチさん、帰って来てください。あ、小南ちゃんとかサソリさんとかデイダラとか連れて来てください。トビは要りません」
不死身コンビも嫌だな。
リーダーもちょっと陰気だから嫌ーーーいやいや。



「………」



「あなた、どこまで知ってー」
「お団子一生分でどうですか?昆布のおにぎりもつけます。フカヒレ一生分は無理デス」
魚面は無視して、お願い光線。

イタチさんの返事はなかった。





その後、ようやっと気配に気づいた自来也様と綱手様が駆け付けたが、すでに二人の姿はなかった。

 

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