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少し森の開けたところに、倒れているネジ。
ネジも、原作通り勝ったのだ。
…原作通り、体に穴が二つ。ピクリとも動かない。駆け寄って、息がある事にホッとする。
「サクラ、そっちお願い」
「うん…」
あまりの傷に、サクラの顔色が不安に染まる。
止血と、とりあえず傷口をふさぐ事に集中していたら、ネジの目が開いた。
「………サエか?何故ここに?」
何故?
死なれたくないからに決まってる。
あんた嫌いだけど。大っ嫌いだけど。ヒナタに土下座したって許さないケド。
言葉に出来ずにいたら、フッと笑われた気がした。ネジは、そのまま目を閉じた。
「サクラ、任せる」
「…うん」
「大丈夫。医療班が来るから」
ネジはシズネさんが治してくれるはずだから。
だから、大丈夫。
次は、キバ。赤丸も。
見えた人影に、あぁそうだったと思い出す。
「あれ、おまえ…って何で暗部が!?」
「アンッ!」
増援ーーーカンクロウだ。
けれどその声は、小犬の声に遮られる。
「赤丸!?」
「アン、アンッ…クゥ〜ン」
ボロボロになっているけど、尻尾を振って擦り寄ってくる赤丸。そっと抱き上げて、小さな温もりに泣きたくなった。
………おかしい。
原作では、命懸けで必死でズタボロのはず。
いや、良いんだけど。
「キバ?」
座り込んでいるチームメイトは、血の気のない白い顔だ。
「…何でここにいるんだよ?」
「その格好、病院着じゃん?」
無傷なカンクロウは無視。
そうだ。
キバは自分で自分を刺したんだっだ。
「ちょ、おいっ!?」
うろたえるキバも無視。
ガバァッと遠慮も羞恥もなく、服を捲り上げた………傷は深い。
チャクラを当てるが、私程度では治しきるのは無理だ。病院からそのまま来たから、兵糧丸も何もない。
「クゥ〜ン」
「こいつ、この犬庇ったんだぜ」
「おまっ、余計な事言うな!!」
目をそらすキバ。
それってーーー
「………赤丸に怪我させんなって、言ったじゃねぇか」
「ごめん」
私は自分の言葉を後悔した。
いや、後悔すればいいのか、何なのか。わからなくなった。
「何謝ってー」
「キバも、怪我しないで」
「!!」
誰も、怪我なんてしないで。
死なないで。
「カンクロウ」
「な、何じゃん?」
私に付いているクロシロにキョドられているようだが、それに構う暇はない。
「キバをお願い」
頭を下げた私にキバが驚いたようが、それも構っている場合ではない。
クロに運んでもらった。
もうチャクラが切れそうだし、このほうが速い。
その背中で、ようやっと頭が冷えてきた。
チョウジもキバも、強くなっている。私の言葉が原因か?
ネジだって、意識がある。
これは、良い方向だ。
サクラとイノだって、医療忍術が使えている。
けれど、すべてがそうとは限らない。
この先に、最悪の結果が待っていないなんて、言えない。