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「今は任務で人がいない。手は打ってある。それにあいつらは子供でも、木の葉の忍だ」
揺らぎなく言い切る綱手様。
でもそんな事はわかっている。私が怖れているのは、彼らが忍として死ぬ事だ。

「綱手様、医療班はすでに手配してます」
医療班?あんな遅い人達?
「…行きます」
「は?おまえ、まだ怪我ー」
止めようとする綱手様の手を振り払おうとしたら、勢いよく扉が開いた。
「待って!」
振り返れば、息を切らしたサクラとイノ。私を追って来たのか。
「私、行くわ」
「私も」
息を整えた後、真っすぐに綱手様を見据えて言った。
「行かせてください。医療忍術、少しなら出来ます」
サクラやイノが医療忍術を使えるようになるのは、もっと後のはず。
この時の私には、そう思い至る余裕はなかった。





音の四人衆。

確かにそんな奴らがいた。

それから、君麻呂。

頭がいなくなったんだから、大人しくしとけよ?何で動くんだよ?ひっそりしとけよ!

キモい癖に。
悪人面の癖に。
死に損ないの癖に。










「綱手様…」
「あぁ、医療班を急がせろ」
見送った綱手は、眉間のシワを深くした。
火影として、里の忍達を信じている。だからナルト達を行かせた。けれど、不安がないわけではない。
いや、どうにも腑に落ちない、納得しかねる感覚が、わずかにあるのだ。

里に人手の少ない時に。
結界に引っ掛からずに。
ピンポイントでサスケの家に現れた敵。

ーーー内通者。

そんな言葉が、綱手の頭に浮かんだ。










あー…

サスケ、馬鹿。

サスケ、阿呆。



里門から出たところで、パンッと手を叩く。きちんと現れてくれるクロシロ。
あぁ、私に二人をつけてくれるくらいなら、サスケを護衛してもらえば良かったのに。
「場所はわかりますか?」
「あぁ」
「サクラ、イノ、ついて来て」
「う、うん。この二人って…?」
「…この人達、暗部?」

二人の動揺を無視して、強制的に出発した。










サスケのボケ。
マヌケ。
ウスラトンカチ。

さらわれるって、どこのヒロインだよ、おまえッ!?










どうか、誰も死なないようにーーー





「チョウジ!?」

森の中。
木にもたれ掛かっているチョウジを見つけた。

原作通り、チョウジは勝ったのだ。

「サエッ!?え、サクラ?イノも?」
きょとんとこちらを見上げられる。立ち上がる力はないものの命の心配は、ない…?

「…チョウジ?大丈夫?」
大丈夫だなんて、随分間の抜けた質問をしてしまった。
「うん、大丈夫だよ」
笑顔を見せられる。
「良かった。これなら大丈夫。任せて」
軽く触診したイノは、サクラに目配せして手当を始める。

あれ?
チョウジは何で笑うくらい元気なんだ?

原作では重傷………?

いや、良いんだけど。

「ねぇ、サエ」
「何…?」
「僕、少しは強くなったんだ」
エヘヘと笑う少年に、私は大きなショックを受けた。



強くなってと、確かに言った。



「…イノ、チョウジは任せる。サクラ、行こう」
「うん」
「サエ、サクラ。サスケ君をよろしくね?」

ショックと違和感を拭えないものの、私は次へと向かった。

 
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