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綱手様、火影に就任。

これで三代目は晴れて自由ーーーつまり、裏で動き放題デス。

ふふふ、私もう何もしたくない。じい様働かせてやる(←最低)。



そんな三代目が、イノイチさんを連れて来た。

なるほど。
カブト逃亡の責任者は、イビキさんではなくイノイチさんか。

…イラッと来た。

一切の遠慮なく、睨みつける。
「何デスカ?」
「いや………すまない」
やや目をそらすイノイチさん。
「すまないって、何がデスカーッ!?」
思わず威嚇してしまう。
「サエ、そう怒るな。詫びに来たんじゃ」
「へー…」
詫び?
何だ、それ。
私、殊勝な態度の相手には強いんデス(←やはり最低)。
「串刺しになったんですヨ」
ザクッとね。
カブトさえ逃げなければ、二対一。自来也様と綱手様の二人がかりでボコッてもらえば、私が出ていく必要なんてなかったかも。いや、間違いなくなかった!
「死んでたかもしれません」
そんな気さらさらないけど。



「………」



大の男が、無言かよ。

わかっているからこそ、何も言えないのか。この人、忍として厳しい人のはず。

「見張りの交代の時に、隙をつかれた。部下は無事だったが…」
あぁ、死者はいないか。これで死人が出てたら、詫びようもない。
うなだれたままのおっさん。ちょっと涙目………また私に娘を重ねたのか?
「我ながらおかしな判断をした。申し訳ない」
「嫌デス」



「………」



「謝罪なんて受け付けません。許しません。拒否します。あなたの人生最大のミスは、私が生涯かけて言い触らし続けマス!」
仕事に厳しいとか、娘ラブだとかーーー部下をいじめるとか、ロリコンとか。真実を織り交ぜて、ちょっとおかしな噂を流してやる。
「入院費用はイノイチさんに。私の事は内密です。もちろん、ご家族にも」
イノイチさんがこの出費を奥さんにどう言うか、見物だな。イノに浮気とかギャンブルとか疑われちゃえばいい。

………イノに悪いな。
チッ、勘弁してあげよう。



それにーーー



「ところで、三代目」
反論のないおっさんは捨て置く。
「面倒な役職から離れられたわけですが、まだまだ隠居だなんて言いませんよネ?」
「む?年寄りに何をしろと言うんじゃ?」
「見張り交代の時の様子を調べてください」
私の言葉に、ヘコんでいたイノイチさんがはっと顔を上げる。
「内部調査です」
「それはー」
「あくまで調査だけ。手出しは一切しないでクダサイ。カブトの事、大蛇丸の事、木の葉崩しの事…すべて、調べてください」



ーーーダンゾウ。

側には山中家の人がいたはず。油断するよう仕向けられたか?

けれど、その文字通り根をはった組織相手に、やみくもに手出しは出来ない。まずは証拠集め。そして、言い逃れの出来ない状況が必要か?

てゆーか、怖い。
身内側にいるなんて、怖すぎる。



「ひっそりこっそり、暗躍してください」
「暗躍…」
「もと火影に、ピッタリだと思います」
ご隠居様が実は裏ボス、みたいな?
「久しぶりに、腕がなるのぅ」
にやりと笑うじい様。
もうすっかり、生きる気力を取り戻した?

………もしかしたら、三代目が死のうとしたのも、ダンゾウの写輪眼の仕業か?警備が厳しくなったから、じい様本人を死に向かわせた?いや、疑いすぎか?

「イノイチさんも」
見れば、こちらも引き締まった表情になっている。
「仕事のミスは仕事で返してください」

 
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