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あー…、まだお腹痛い、気がする。



神経麻痺したはずなのに。

もうちょっと念入りにしよう…。










原作よりも優位な感じで、ナルトの螺旋丸、命中。いっそここでカブト殺せるくらいに強くなってもらえば良かったなんて、今更だ。
「…行きます」
迷いは隙になる。
躊躇してはいけない。



英雄になんて、ならない。










ヒュウッと、空気が凍る。

彼らの背後と地面ーーー退路を、姿は隠したままのシロの氷遁が囲んだ。

気絶してるナルトを治療する綱手様の前に出る。
「嬢ちゃん!?」
へたり込んでいる自来也様に叫ばれるが、無視。余裕ないから。

大蛇丸とカブトを、精一杯の根性で見据えた。
「あなた、木の葉崩しのー」
「錦サエという下忍です。何故ここに?」

二人に睨まれ、笑った。

ふふふ。

何かもう、笑っちゃう。

「色々と邪魔をしてくれるわね。何者?」



ーーー何者?

ふふ、笑っちゃう。

私は、私。



「…その目」

緩く口角を上げ、黙ったままの少女を、蛇は見入る。
「暗闇ね。あなたの目は」
少女の目は、黒ーーー否、ただの色相の事ではない。
「あなたは、こちら側の人間じゃないかしら?木の葉なんかと馴れ合う事はないんじゃない?違う?」
大蛇丸は、どこか面白いものを見つけたと、楽しげに笑った。

「そうね………サエ、一緒に来ない?」










迂闊に深淵を覗き込んではいけない。

なぜならーーー





闇もまた、こちらを見ている。










唐突に頭に浮かんだかつての世界の言葉に、サエは笑みを深めた。

「あなたに何か望みはないかしら?例えば綱手みたいに、生き返らせたい人はいない?叶えてあげるわよ?」
「…良いですよ」
「!?」
色良い返事に驚く周囲。
ニタリと笑う蛇。
「嬢ちゃん、何をー」



「あなたが木の葉に帰るなら」

にっこりと、哀しく笑った。



「…有り得ないわね」

答える相手も、その口角を更に吊り上げた。










有り得ないと、わかっている。

どうしようもなく狂ってしまった人を、どうにか出来るような力は、ない。

永遠に生きたいだなんて、永遠に満たされないのと同じ。

永遠に、虚しい。





もう、戻れない。
二度と手に入らない。

永遠に不可能なものを望み続けるのは、辛い。

サエは、それを知っている。

 
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