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やはり、火影様はお忙しい。

三代目は働いていた。
確かに木の葉崩しの影響で、すること山積み。片腕でも書類整理は出来る。
巻物と睨めっこだ。



完治してないんじゃあ…

働けって言ったの私だけど。



「サエか。もう体は良いのか?」
「治しました」
「…治した?」
はい、そうです。
何か文句でも?じい様も治しましょうか?そうすれば今以上に働けるーーーいやいや。
「ちょっと良いですか?」
「うむ」
「えっと、人払いを」
「今は大丈夫じゃ」
本当に?
ダンゾウ絡みの暗部がいたら、私マジで駄目なんだけど。
「木の葉崩し以来、警備は厳重になっておる」
なるほど。
「次の火影は決まりましたか?」
「いや、自来也は嫌がってな」
しかめっ面でため息をつかれた。考えてみたら、この人の弟子って三人ともどうよ?
で、原作通りに自来也様は綱手様を探しに行ったんだな。
「ナルトは自来也様と一緒ですよね」
「…うむ」
何で知ってるんだって顔。わかりやすい。そこは忍んでください。

何かの巻物を手にしたままの三代目に、遠慮なく話を続ける。

「私、班抜けます」

何かね?
すっかり遠慮なくなったと言うか、怖くなくなったと言うか………じい様相手に気がゆるゆる。何の警戒もなくなってしまった。
たぶん、開き直っちゃったんだと思う。

色々考えて、とりあえず決めた事に、頭のネジが数本飛んでいったんデス。

「…抜けたとして、どうするんじゃ?」
「暗部、借してください」
「………何をするつもりじゃ?」
「あー…その、大蛇丸、殺れたら殺ろうかと」

あはは。
我ながら、オカシナ事をしようとしている。



三竦みの戦い。

カブトは捕まっているから、自来也&綱手 VS 大蛇丸。二対一(ナルトもいる)。そして原作通り大蛇丸の手は使えない状態。どう考えてもこちらが有利。二人がかつての仲間を殺すのに躊躇するなら、弱ったところを暗部の皆さんにサクッと殺してもらおうかな、なんて。

うん、ダメなら逃げる。

………大丈夫よね?



あれ?
ご老体、固まった?

「サエ、それはー」
「勝算はあります。駄目なら逃げます。憐憫は捨ててください」
「…そうじゃな」
教え子に対する思いは、強いもの。

けれどーーー





開き直った私が考えた結果。

サスケの里抜けを防ぐ。

それだけで、未来はかなり変わるはずだ。サスケが木の葉にいれば、ナルト達と一緒にいれば、明るい方向の可能性が高い。
そのためには、根源ーーー大蛇丸を殺す。
幸いカブトは捕まっている。

チキンな私が確実に勝てる、唯一のチャンスだ。





「今じゃなくて、一ヶ月くらい先なんですが」
三代目が私の背後に目配せすれば、音もなく現れる黒面と白面。
「クロとシロじゃ。知っておるようじゃが」
え?
「…クロ、と…シロ?」
思わず返す。
「暗部名じゃよ」
私の戸惑いを違う意味に捕らえたじい様に、気を取り直す。
「二人はサエにつけた護衛じゃ。好きに使ってよい」

好きに?

思わず妄想ーーーではなくて。

「………言う事聞いてくれなそうです」
「内容によります」
ほら。
白でさえこうなのだから、再不斬はもっとだ。お面だけど、こっち睨んでないか?一度私のお願い光線に負けたクセに。

「最優先は、あなたを守る事ですから」



………私、幸せだなぁ。



「あー…じゃあ、びしばし守ってください」
「はい」
今度、お面じゃなくて、顔見せてもらおう。

 
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