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眩しい…。



うっすらと目を開ければ、カーテン全開。

窓の外には青い空。

きょろりと目線だけ動かす。
白い病室。廊下に出るであろう扉からは、足音やら話し声やら。

ゆっくり腕を動かして、痛みがない事を確認。足も動く。ゆっくりーーーでも痛い腹部に耐えて身を起こす。

あー…、私生きてる。



気配がして見れば、ちょうど扉が開いた。

「サエ、起きたのね」
ほっと息を吐く紅先生。心配かけてごめんなさい。
「さっきまで、あなたのご家族もいらしたのよ。見送って来たところ」
家族だって、当然心配する。

………これを機に、父は娘を忍者にした事、後悔してくんないかな?

「起きても平気?あばらと内臓が傷ついてるってー」
説明途中に、私はすぐさま横になった。
「そういう事は、早く教えてください」
「そ、そうね」
どうりでお腹が痛いわけだ。
無理して動いたら、あばらが内臓に刺さっちゃったり?恐ろしい。

私、昨日の夜起きたっけ………危なかった。

「ヒナタ達も来るわよ。来る途中、イノの花屋にいたから」
あぁ、ヒナタもイノも、みんな無事だ。
「あなた、無茶したわね」
眉根を寄せて、少し泣きそうに笑う紅先生に、私は笑った。
「全くです。全部、カカシ先生が役立たずなせいです」
「とりあえず殴っておくわ」
「キツめにお願いします」
私の笑みの意図を、正しく汲み取ってくれた紅先生は、いつもの凛々しいお顔になる。



「………ヒドイ」

入口には、壁に向かってイジイジしているはたけカカシ。
片手に松葉杖があるのは、怪我ではなくチャクラ切れだ。大蛇丸相手に役立たずだった事は確か。

ウザイな…。



「カカシ先生、邪魔だってばよ。入れねぇじゃねぇか」
元気なナルトは大変可愛い。
「蹴り飛ばしていいよ」
「わかったってばよ!」
私の言葉に素直に拳を握るが、それは蹴りではなく殴る。やはりナルトの将来が心配だ。
「あんまりじゃない?」
ナルトが振りかぶる前に、カカシ先生は危険回避。私のベットサイドに立つ。松葉杖いらないんじゃないか?
「入口塞いでるからよ」
「紅…そうじゃないデショ」

「ナルト〜、病院なんだから、静かにしなさい!」
サクラのほうが煩いのだが。
「まったくだ。ウスラトンカチ」
サスケ、一言多いよ。自分がかなり大人気ないって気づいてないね。
「カカシ先生が邪魔なのが悪いんだってばよ」
「そう、全部カカシ先生が悪い」
「サエちゃん、俺に何か恨みでもあるの?」
これと言って明確な理由はない。ただ弄りやすいだけ。役立たずだし。何だかウザイ感じのカカシ先生は、さらっと無視した。

「みんな…元気だね」
子供達三人は、小さな擦り傷くらいで、元気そうだ。ナルトなんて笑顔が眩しい。
「おぅ!」
「サスケ君とナルトのおかげでね。これ、お見舞い。焼菓子好きでしょ」
「あー…、ありがとう。大事に食べる」
ふと、アカデミーでの出来事が過ぎる。あの頃は、こんなふうになるなんて思ってなかった。
「俺からはこれだってばよ」
意外にも、ナルトからお見舞い。小さな観葉植物だ。



「………」



いや、純粋に喜べ、私!

「ナルト…入院のお見舞いに鉢植えはないわよ」
「え、何でだってばよ!?」
根つく=寝付くからね。
「ナルト、私は嬉しいから」
ダメだ。苦笑にしかならない。
「バカが。病人に気を使わせるな」
「ムッ、そう言うサスケは、何持って来たんだよ!?」



「………」



手ぶらだ。

「や、来てくれただけで十分ー」
「サスケなんか何も持ってきてねーじゃねぇか」
「鉢植えよりマシだ」
「何だとーッ!」
「ちょっとナルト、病院なんだから静かにしなさい」
「はいは〜い、君達もう帰ろうネ〜?」

賑やかだった。

いつも通りの彼らに、私は自然と笑っていた。

 
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