1

□10
1ページ/6ページ


ヘロヘロだ。

火影塔から家まで、ふらつきながら帰った。



ちなみに火影様とイビキさんは、疲れたの一言で強制的に終了した。ほんと、マジで疲れたから。明日にして。

土色っぽい顔で、うっすらクマまで出来ていて、猫背でふらふら。
火影様が暗部の護衛つけるくらい、へろへろ。どこから見守ってくれてるのか、気配のカケラもないが。

「ふふふ…」

壊れ気味の私の口から意味不明な笑いが漏れた。

道行く人に避けられた。



ケガとかしてませんヨ?一次は完全に放棄。二次は班員任せでしたが、何か?
頑張ってヒナタ治療したし、頑張ってハヤテさんと戦ったんだもの。

何より精神的苦痛がピーク。










………ネジ。

何でうちの店の前に?

偉そうに腕組んで仁王立ち。睨んでいる。営業妨害ならお断り。

めんどくさいので素通りした。

「おい!?」
素通りしたかったのに、腕を捕まれた。勘弁して欲しい。
「おまえ、わざとか!」
疲れたんだよ。わかれよ。因縁つけに来るな。ネジなんか試験会場からずっと無視だ。
「…無理」
「は!?」
「もう無理。疲れた。あんためんどい。私もう休む。帰れ」
話すのもしんどい。腕を振り払って、シッシッとしてやった。

脇道の先の玄関に向かう。

「待て!」
ネジの叫びは、聞こえても聞かない。
「待て…っ、おまえの言った事は本当か!?」
右から左。
「ヒナタ様はー」
「ウゼェ」
イラッと来た。
「ヒナタの名前を口にする資格あんの?」
怯んでる。クッとか言って。この程度で怯むなよ。ガキめ。

…まぁ、ガキだから。
ネジも子供。導くべき大人がいなかったのは不運。日向の家は何やってんの?ヒナタのお父さん、娘殺されてからじゃ遅過ぎですヨ。あはは。

笑い事じゃねぇよ!

「ごめん」
「…は?」
急に謝る私に気の抜けた声を出すネジ。
「言い過ぎた」
兄と呼ばれる立場の癖に、あんなに可愛いヒナタをネチネチ責めた行為は、許さないけど。
「ひとつ取り消す。死ねばいいって言ったやつ」
怨霊になられたら怖い。
「後は取り消さない。大人になって後悔しろ。自分を恥じろ」

じゃあね、と反応される前に家に入った。

ネジはしばらく、呆然としていたらしい。



あー…、疲れた。










数日ぶりの我が家に、肩の力が抜けた。

日常って素晴らしい。

労ってくれる母に涙腺が緩みかけた。マザーは偉大だ。
お風呂に入って、お腹に優しい食事をして、柔らかな布団に包まれば、あっと言う間に夢の中。

仕事帰りの父が、本選に残った私に狂喜したとか。寝ている私を起こそうとしたとか。それを母と兄が止めてくれたとか。



我が家、万歳!










翌朝、目が覚めた私は、まだ起きたくないとのろのろ。暖かい布団の中でもそもそ。

まだよく働かない頭で、急にひとつの事に気づいて、はっと覚醒した。



カブトは捕まった。

という事は、ハヤテさんがカブトと砂忍の密会目撃で殺される事も、なくなったのでは?



わ、私………戦う必要なかったのでは!?

えぇーっ!?



二度寝、もといふて寝した。

 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ