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あぁ、お家に帰りたい。
サクラの髪は短くなっていて、ナルトはボロボロなのに元気で、サスケは顔色が悪い。
そっと首もとを覗けば、呪印らしきものーーー
目をそらした。
音忍の先生のほうは見ない。
見てはいけない。絶対に。
人数が残り過ぎたので、と原作通りに予選が開催される。
月光ハヤテの登場に、私の気分はさらに鬱。
あなた顔色悪くて死にそうだけど、このあとマジで死ぬんですよ?ゲホゲホ咳してる場合じゃない。夕顔さんが敵討ち誓っちゃいますよ〜?あはは。
人間ストレスがかかり過ぎると、テンションがおかしくなるものだ。
火影様〜?
何故に合図寄越すでも、誰かに伝言するでもなし?
カブトの棄権や、サスケやら何やら、ぼーっと観戦。何かもう考えるのイヤだ。
そんな私に、更なるストレス。
日向ヒナタ 対 日向ネジ。
ネジ兄さんの憎しみに、ナルトの応援。血を吐くヒナタ。
私の中で、何かがキレた。
ネジを止める先生達と一緒に飛び出す。
「え?サエ!?」
戸惑う紅先生から、ヒナタの体を奪った。
「ぁ…サエちゃ…」
「しゃべるなっ!…ヒナタ、少し我慢して」
クナイで服を裂く。直接胸に触れて、チャクラを流した。
嫌だ。心室細動の感覚なんて知りたくない。血の塊がある。内部が傷ついているんだ。チャクラで誘導して吐かせた。見た目にわかりにくいが、あちこち相当なダメージ。
あー…ネジ最悪だ。
トランス状態の私は、すべての傷を治した。自分の試合がまだだとか、みんな見てるとか、ちゃんと医療班がいるとか。一切思い至りませんデシタ。
「サエ」
名を呼ばれるが、無視。
「サエ!」
さらに無視…紅先生の声?
「サエっ!もう大丈夫よ!ヒナタは大丈夫だから!!」
ぐいっと肩を捕まれ後ろに引かれる。そのままそこに座り込んだ。
「ぁ…」
ようやっと我に返る。
私を見下ろす紅先生。
気絶しているヒナタの顔色は、すこぶる良い。桜色だ。
うわ、やべっ!ヒナタの胸元が見えかけ!?
とっさに脱いだ上着をかける。ヒナタの心の傷になったらどうしよう!?ヒナタのお父さんに殺されるーっ!!
「………異常ありません。目を覚ますのを待つだけです」
医療班のおじさんが確認して、ヒナタは運ばれて行った。
「サエ、あなた大丈夫?」
「あんまり…」
チャクラ使っちゃった。心なしか体に力が入りにくい。
私、棄権してもいいですか?