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中忍試験ーーー
何を安心してたんだろう?
物語はどんどん進んでいる。ナルト達が波の国から帰って来たら、次は中忍試験じゃないか。
「おやおや皆さんお揃いで」
試験会場にて、わざとらしい声をかけるキバ。大人げないぞ。いや、子供だからいいか。
ちなみに赤丸はキバの頭上ではなく私の腕の中。精神安定剤代わりだ。
原作通りガイ班とのイベントを終えたようで、サスケの服がちょっとだけボロっとなっている。試験前なのにサスケもリーも馬鹿だ(断言)。
「君たちーーー」
横から割って入った声に、動揺を隠すため、目を閉じた。ゆっくり息を吐いて見た先には、眼鏡の青年。
薬師カブト。
大蛇丸の片腕。いや、この時点ではまだそこまで信頼されていなかったか?
彼の認識札で我愛羅が出る。
そこでようやっと、彼らの事を思い出した。
砂三姉弟と、風影ーーー
中忍試験の前に殺されている、彼らの父親。
家族として、やり直せたかもしれない人。
助けられた?
どうやって?
サスケは呪印を付けられる。
私に、何が出来る?
「あの…」
後ろの方から、顔だけ出して尋ねた。
「その認識札には私達の事も?」
緊張で心臓がバクバク、喉カラカラ。カブトにも大蛇丸にも、本当は関わりたくない。
「もちろん。あくまで僕の知り得る範囲だけどね。例えばー」
人の良さそうな顔をしたまま、カブトは別の札を出す。そこにあるのは、忍者登録書にある私の写真。
「錦サエ。アカデミーでの成績は優秀。特に頭脳明晰。体術なんかはそこそこってところかな?上忍師は夕日紅。実家は呉服屋さんだ。忍具や忍服も扱ってる」
「あってます…」
そのくらいなら、誰だってわかる。カブトが私の情報を集める理由はない。
「ま、自分の情報がどこまで出回ってるか確認するのは重要だ。やっぱり頭脳明晰だね」
にっこりされて、何とか愛想笑いだけ返した。
その後、音忍の攻撃をくらったカブトに、少しだけ胸がすっとした。
ここでズタボロにされればいいのに…。
いっそ忘れて、楽になりたい。
一次試験は、白紙でいい。
開始の合図とともに、私は解答を放棄。これから先の事を、必死で、細部まで思い出していた。
どこで何が起こるか。
どのタイミングで何をすればどう変わるか。
結局動くことを考えていることに、後になって苦笑した。
だって、彼らは目の前にいる。
これっぽっちも問題解けなくて、頭を抱えているナルト。
写輪眼で見事にカンニングするサスケ。
私がいる時点で、既に物語は歪んでいるんだ。
さあーーー
覚悟を決めよう?