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もう、焦っても変わらない。

あの二人がどうなったのか。今からでは変えられない。どうなったのかわからない現状はすっきりしないが、変に人に聞く事も出来ない。

出来ることはしたんだと、自分の胸に言い聞かせた。










里門の前で、彼らを待つ。

遠目に見えたのは、まず明るい金色。続いてピンク、銀色、最後に黒。

四つの人影ーーー



あぁ、無事だ。

目にして実感する。主人公は死なないとか、原作は絶対だとか。そんな事、言いきれない。

「あれ、サエ。何でこんなとこにいるんだってばよ?」
「…帰って来るって聞いたから」
頭のてっぺんからつま先まで、一人一人確認して、ほっと息を吐いた。疲労の色は見えても、三人とも常と変わりない。

「おかえり。お疲れ様」
「!…へへ、ただいま」

照れ臭そうに、けれど笑顔で返すナルトに、目を細めた。
「なぁなぁ、聞いてくれ!俺ってば大活躍したんだってばよ!」
再不斬と白の事があっても、ナルトの持っている明るいものは、曇らない。
「ナルー」
「話していいの?」
「へ?」
カカシ先生が制止に入る前に、言葉を被せる。
「任務内容は、気軽に話すものじゃないでしょ?」
原作なら知っている。
それでなくても、彼らが何かしら成長したのだという事は、その雰囲気でわかる。
「あー、わかったってばよ。でもでも、俺すっげぇ強くなったんだ!」
「うん」
「木登り出来るようになったしよ」
「うん」
言い方に苦笑。
「ちょっと、それじゃあ普通じゃない。手を使わないでチャクラで登るの」
「サクラは得意そうだね」
「え、わかる?私一番だったの」
照れるサクラは、可愛い。
「サスケだって、シャリンガンってやつ使えるようになったしよ」

………白と戦ったから?

「写輪眼だ。馬鹿は治らないな。ウスラトンカチめ」
「サ〜ス〜ケェ〜〜〜!」
「もう、出発前と変わらないじゃない。ナルト、やめなさい!」



変わらない。

それで十分じゃないか。



「…おかえりなさい。お疲れ様です」
聞きたい事は飲み込んで、カカシ先生に労いの言葉をかける。
「ん、確かに今回はちょっと疲れた〜ネ」
片目だけだが、苦笑しているようだ。言外に、子供達の世話に疲れたと含まれているのがわかる。
「ま、途中で思ったよりは、少〜しだけ楽だったかな」
瞬きをすれば、ぽふっと頭を一撫でされた。
「サエちゃんの情報のおかげでネ」

それは、どういう意味で?

「…ゆっくり休んでください、って言いたいところですが、またこれから任務ですか?」
「どうだろう?これから火影様に聞いてみないとわからな〜いネ」
「じゃあ、お気をつけて」

苦笑を交わして、彼らと別れた。



あの二人が、彼らと一緒に木の葉に来てくれたらなんてーーー

ほんの少し夢を見た。










生死だけでも、知りたかった。

けれど、敵であり他国の抜け忍である二人の事を知りたがるのは、おかしい。



その後、カカシ班が桃地再不斬を殺したと、人づてに噂を聞いた。

 
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