1

□04
2ページ/3ページ


私は、任務に専念した。

正確には、専念するように努力した。



事情を知らされた紅先生は、どこか上の空の私を叱りはしなかった。

「サエちゃん、もしかして具合良くないの?」
「ん、ちょっと…アレがね」
ヒナタにまで気を使われてしまった。シノも黙ってるけど気づいてるだろう。キバはどうかわからないが。
「えっと、あれって…?」
「…女特有の体の状態よ」
「あ…そ、そうなんだ。辛かったら言ってね」
うん、ごめん。嘘だ。
こう言えば誰もそれ以上突っ込んでこないから。



火影様に話をしてから、もう一週間ーーー

結果が出ているはずだが、何の連絡もない。私に知らされていないだけだろうか。たがたが下忍に、事の顛末を知らせる必要はない。



恐ろしいのは、私の介入で、最悪の結果になる事だ。

再不斬と白を助けるどころかーーー他の誰かが死んだりしたら?










どうすれば良かったんだろう。



「親父!」

夕飯時、勢いよく帰ってきた兄は、父を連れて店へと向かった。自宅とは中庭を挟んである店舗で交わされた会話は、忍の耳にはよく聞こえた。
「ガトーカンパニーが潰れた!ガトーが殺されたらしい」

欲しかった情報は、思わぬところからもたらされた。

「うちに影響は出そうか?」
「いや、むしろ良い影響だ。波の国とも良い取引が出来るようになる」
「しばらく落ち着くまで商売は待て。とりあえず、うちにある要らない在庫、タダで配れ。いいな」
「は?」
「おまえが思っているより、一般の人達は貧しい。食べ物すらない。服なんか二の次だ」
確かに、食料に乏しくて、孤児がたくさんいたはずだ。
「売れ残り抱えてても意味がない。慈善事業だと思って景気よく配って来い」
「あ、あぁ…」
「おまえ、わかってないな」
盛大なため息が聞こえた。
「半分は寄付、もう半分は宣伝だ。信頼も得られる」
父は、澱みなく言い切った。
「言っておくが、施しではないからな。上から目線では何にもならん。相手に嫌われたらおしまいだ」

あー…、何か父の裏の顔を見た気分だ。間違ってはないが。
商人って逞しい。この人忍者にならなくて正解。



ナルト達は、どうなったのだろう。



「お母さん、火影様のところに行ってくる」
「え!?」
母の返事を聞かずに、瞬身で火影搭に向かった。










「すいません。火影様か紅上忍に会わせてください」
夜遅くにやってきた子供、とはいえ額当てをした下忍。待機所にいたのか紅先生がすぐに来た。
「こんな時間にどうしたの?」
「波の国のことです」
察してくれた先生は、すぐに火影様のところへと連れていってくれた。



「商人は情報が早いのぅ」

火影様はすでに知っていた。
「皆無事じゃ。安心せい」
しばらく休んだら帰ってくると笑顔で言われて、私は家に帰るしかなかった。



三代目の言う『皆』には、再不斬と白は含まれていない。

 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ