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下忍になって、いろんな任務をこなすようになっていた。

それなりにお給料がもらえて、面倒でも平穏な仕事に、私は満足していた。

ずっと芋掘りとかペット探しでいいのに…。










ザクッと、クナイを地面に刺す。くいっと持ち上げて、根ごと雑草を引き抜いた。
今日の任務は、放置されたお庭の草刈りデス。

「ん〜、ぐぬうぅ〜!」

奇声がして顔を上げれば、キバがでっかい雑草を抜こうと踏ん張っていた。その頭の上で小さな赤丸もプルプルして踏ん張っているが、意味がない。キバの頭にダメージ。

可愛いからそのままに…

「キバ、かして」
いや、かわいそうだ。
「抜けねぇ。俺がやっても抜けないのに、女のおまえじゃーーーえぇっ!?」

抜けました。

ちょっとしたチャクラコントロールだ。サクラの怪力を思い出して自主練してみたら、あそこまでではないにしろ、出来たのだ。

「馬鹿力…」
「チャクラコントロールだよ」
「そうよ。サエはコントロールが上手ね。無駄がないわ」
「スタミナないので」
「チャクラで馬鹿力になれんのか?」
「キバ、アカデミー出直してらっしゃい」



草刈りの後、紅先生によるチャクラコントロール修業になった(主にキバに)。
木登りだ。
白眼や蟲を使うヒナタとシノは、きちんと出来ていた。

「だぁっ、グガッ!」
木登りに失敗し続けるキバ。舌噛んだかも。
心配そうにおろおろしながらも、しっかり登っていくヒナタ。黙して集中、確実にてっぺんに近づくシノ。
私はと言うと近くの枝に逆さにぶら下がって鑑賞している。腕のなかには心配そうにキュ〜ンと鳴く赤丸…可愛い。ずっとミニサイズでいて欲しい。

「あ、危なー」
ずどんと盛大な音が響く。
頭を打って悶絶しているキバの側に降りた。せめて頭は守ろうよ?忍者でしょ?受け身はどうした。
「あ〜、クソッ!」
「ヤケにならない。集中しないとまた落ちる」
「おまえ、何でこんなん出来るんだ?アカデミーでこんな授業なかっただろ」
漫画のまね、とは言えない。
「…うちは、名門でも親が忍でもないからね」
考えて見れば、サクラ以外の同期はみな親が忍者だ。それも名門一族。そんな中で頑張ってきたサクラってすごい。
「死ぬのヤダ」
「え?」
「ケガだって嫌だ」
「サエ?」
「才能も一族の秘術もない私が生き延びるためには、努力が必要。並以上の。で、私なりに判断した私に適してる分野がチャクラコントロールだった。それだけだよ」

思えば常識とは随分かけ離れた所に来てしまった。現代日本なら、オリンピックも真っ青。

「努力しているという事だ」
いつの間にかシノが来ていた。派手に落ちたキバを心配したのか。
「サエちゃんは、アカデミーでもちゃんとしてたから…キバ君、ケガしてない?」
ヒナタも心配している。

可愛いなぁ。
ヒナタと赤丸が私の癒しだ。

「あ〜、うん。大丈夫だろ」
涙目ですが?
「キバ、診るから座って」
抱えていた赤丸を手渡して、素直に座るキバの後ろにまわる。
うわぁ、まさにタンコブ。

手の平にチャクラを集中して翳した。

「?…あったけぇ」

やや首を傾げるキバの後頭部。それを見上げる赤丸も首を傾げるのが見え、鼻血出るかと思った。マジ可愛い。

「あなた、医療忍術使えるの?」
紅先生に感心された。褒められるのは嬉しいが、過度の期待は困る。

「人に使ったのは初めてです」

自分の擦り傷とかしか、試した事がない。



「………」



「お、俺は実験台かよ!?」

キバだから。

「治ったでしょ?」
「まぁ…もう痛くねぇけど」
「サエは器用ね」
「ちまちました事しか出来ません」
器用貧乏になりそうだ。

 
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