ワンピース

□戦場にて5
1ページ/4ページ


崩れ落ちる瓦礫。

飛び交う銃弾と刃。

そこここに倒れる人達。





ウミは戦場を進む。

「フッフッフ、嬢ちゃん…何考えてんだァ?おっと、汚れちまうぜ」
「ヒッ!………ガープさんの所に行きます」
あやうく死体を踏みそうになった。

センゴクさんと白ひげと一緒に、黒ひげ海賊団と戦っているガープさん。
ウミが無事助かったのを見た後、すぐに戦いに戻ったのだ。

「じいさんが心配か?ありゃ殺しても死なねェだろ」
「…そう、ですね」
近いようで、遠い。
一歩動くのも命懸けだ。
白ひげが地面を割ったおかげでこちら側に海賊は少ないが、戦場には変わりない。
「むしろ嬢ちゃんは邪魔だろ…あァ!?邪魔だ!!」
「!!…知ってます」
ウミに向かってきた海賊が、ドフラミンゴさんに吹き飛ばされる。いや、どちらかと言うとウミではなくドフラミンゴさんを襲ってきたのだが。
「着く前に死んじまうぜ?」
「それは………ドフラミンゴさんが守ってくれてます」
少なくとも今は、守ってくれている。
「俺が騎士か!?フッフッフ…」
「いつかの、借りを返すって事にしてください…私が止めなかったら、ガープさんにマリンフォード出入り禁止にされてましたから」
これは、嘘じゃない。
「フッフッフッフッフ!!」
腹を抱えて笑われた。

やはりこの人は、戦争が楽しいのだ。
時代の変わり目を、そのただ中にいる事を、喜んでいる。

グラリと崩れてきた壁。
このままでは下敷きになる―――けれど、ドフラミンゴさんが蹴り飛ばした。
ドゴォンと、戦場にさらなる土煙が上がる。
「嬢ちゃんといる方が色々見れそうだな!………さっき、黒ひげの野郎と何を話してた?」
「…聞こえてなかったんですか?」
「あいにく遠くてなァ」
「ほんの、時間稼ぎです」
「フッフッフ…」

愉しければ良いのか。
それ以上は聞かれなかった。










何があるか、わからない。










変わったから―――



物語は、もはやウミの知るものではない。



だから、何があるのかわからない。何が起こるかわからない。

誰がどうなるか。

生きるか、死ぬか。





ウミも、ガープさんも。










ガープさんやセンゴクさん、中将達に海兵達―――黒ひげを取り囲んでいる海軍。

それは、ウミが用意した時間があったから。
ティーチと話した時間だけ、センゴクさんは無駄にはせずに、準備したのだ。



白ひげも共に。





愚かで、哀れだ。

まだ十分に戦える白ひげと、わずかな時間でも備えられたセンゴクさん達。
この事態に、ティーチは対処しきれていない。

「…仏のセンゴク!英雄ガープ!おめェら白ひげと組むとはどういう事だ!?」
「貴様を倒すまでの間だ!我々海軍が、悪党共の横行を許す事はない!!」
「白ひげよりも今はおまえらの方が厄介じゃ!!」

余裕があるわけではないが、追い込まれているのは黒ひげ海賊団だ。

「オヤジィ…やべろ!おれは息子だぞォ!!」
「おれの船のたった一つの鉄のルールを破り、お前は仲間を殺そうとした………ハァ…ハァ…そのケジメは、おれがつける!!」
戦い通しの老体は、いつ倒れてもおかしくない。
「畜生ォ…死に損ないのクセにィ!!」
ティーチの反撃を防いだのは、息子達―――マルコとサッチだ。
「オヤジにこれ以上傷はつけさせねェよい!」
「てめェに引導渡すのは俺だって言っただろ!ゼェ…ハァ…」
いや、サッチは下がったら…?

マルコがここにいるという事は、エースは無事逃げられたのか?
たぶんきっと、逃げ切れるはず。わずかとはいえ、サカズキさんは止まったのだ。










ガープさんの所まで、まだもう少し―――



ビキィと、ウミの前の地面が割れた。


 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ