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どうやら私には、特に向いている性質はないらしい。
風火水土雷、満遍なくちまちま。良く言えば器用。悪く言えば特技なし。
軽くキャンプファイヤー、軽くシャワー、軽く発電………。
何かこう…必殺技というか、命の保証の出来るような技が欲しい。マジで。
「二つ以上の性質が使えるだけでもすごいのよ。サエには医療忍術だってあるんだから」
紅先生の慰めの言葉が心に染みる。イタイくらいに。
だって先生、困ったように笑ってますよ?
「サエ、手当してくれ」
キバはしょっちゅう小さな怪我をしては、私の所へやって来る。時には自宅まで。便利屋扱いだ。
「キバ、怪我をしない方法を覚えなさい…」
「アン、アンッ!」
ため息混じりに零した言葉に、赤丸も賛同する。一蓮托生、巻き添えだもんね。
赤丸がひどい怪我したら叱ってやる。
ヒナタの家には、時々お邪魔している。日向のお屋敷は敷居が高いが。
門をくぐるたび、重苦しい空気に首が絞められる感覚がするのは気のせいだろうか?
あ、あれか?ヒナタに不審者が近づかないか見張っているのか………という事は、私は不審者デスカ!?
主に真面目に修業したり勉強したり、たまにお団子食べたり。怪しいことなんて何ひとつしてないのに。
ーーー私がヒナタに萌えを求めているのに気づかれたとか!?ヒナタのお父さんに殺されるっ!?未だに会ってないけど。
ネジにも会ってない。
シノとは、任務以外で会う事はない。
無口なシノとひっそりを心掛けている私では、あまり会話はないが苦ではない。むしろ似た者同士かも。
「サエは」
とある任務中、珍しくシノが話し掛けてきた。
「変わっているな」
「…え?」
一見して変わり者なのはシノの方だ。そのはずだ。私は常識人だと自負している。
うん、私は常識の範囲内だ!
犬と融合したりしないし、目の回りピキピキしたりしないし、体内に蟲だっていない。
………ごめん、みんな。
私はすっかり、日常に戻っていた。
修業終わりに、紅先生から紙を渡された。
「中忍試験、推薦しといたわ」
ガッツポーズににやりとするキバ。いつも通りのようで、ちょっと蟲達がざわざわいっているシノ。戸惑うヒナタ。
私は、眉間にシワを寄せた。
「自信持ちなさい。あなた達はよくやってるわ。任務も修業も」
私が受けないと言ったら、班全員が受けられない。
ーーー大蛇丸が来るんだ。