小説

□spring scent
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(私には大切な友達がいます。
その友達は、あるとき、とある人に無視されていました。
そして、大切な友達は傷つき、涙を流しました。
そのとき、私の指は衝動的に動き、紡ぎだしました。
怒りと後悔と尊敬と愛情。
―――そんな、言の葉。)





人間は本当に愚かなものだ。

良いことなど無いというのに群れ、お互いに傷つけ合い、傷つくその度にすがりつき、同類である人間を縛り付け、固定概念だけで他人を決めつけ、執着し、振り払い、罵倒し、傷つき、傷つけられる。

そのたびに感情は締め付けられ、揺さぶられ、壊される…

そしてその愚かしい人間に自分も含まれているのだから、まったく気味が悪いものだ。


…あぁ、気持ちが悪い。

人間の感情が、行動が、視線が、声が、存在が、そのすべてが、気色悪い。





――ねぇ、こうして言葉にしてみるとよく解るもんだね。

私、あんたに憧れてる。尊敬してる。あんたみたいな性格になりたいと思ってる。

嫌なことがあっても明るく振る舞って…

理解力が無い人だからこそ其れは鬱陶しいものに感じる。

だけどじっとみてみたら、ほら。


なんとも言えない輝き。


無理して明るく振る舞っているからこそ、暗さを見せてくれたときは心底安心するよ。

私の前ではちゃんと無理してないんだな、って。

総てをさらけ出していいから。
総てに感情を委ねていいから。
総ての強さを失っていいから。

いいから、――――



私んとこに来なよ。

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