小説

□僕の知らない言葉
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※サイ→臨の片思い











僕の体にバグが発生した



僕には出来る事と出来ない事がある。
それを決めるのは全部マスターである臨也くんだ。

僕の本来の使い方は「歌」だ。
でも臨也くんみたいにデータの整理とか、そういう仕事の手伝い係として使われる事もある。

正直始めはしんどかった。
予想以上に臨也くんが扱う情報は多くて、膨大な知識が一気に入った。
次々と情報の整理を任される。
どうやら僕は臨也くんみたいに「人ラブ!」ではないようだ。

僕がしっかり仕事をする度、僕と同じその顔で笑って「ありがとう」と言ってくれた。
それだけで僕の疲れは無くなった。
そもそも僕はアンドロイドなんだから、疲れなんてない。
精神的な疲れだけ。
それも全て無くなって、寧ろ楽しくなっていた。

僕は「人が好き」というよりも……――――



そして話は始めに戻る。
最近、胸のあたりが痛い。しんどい。気持ち悪い。
「最近」って言っても、多分ずっと前から。


臨也くんは静雄くんの事が好きだ。
人としてではなく、特別な、恋愛的な意味で大好きならしい。
その情報は、本人の臨也くんの口から聞いた。

その時…
すごく、痛かった。
気分が悪くなって、
でも頑張って笑顔を作って、臨也くんの話を聞いていると、
臨也くんは見た事のないくらい可愛い笑顔になった。

そんな顔をいつも静雄くんに見せてるの?
僕は見た事ないよ…?
そんなに静雄くんが好きなの?
その「好き」が僕に向けられる事はあるの?

僕は………臨也くんが好きなの?

最新のアンドロイドじゃない僕には分からないよ。



僕には知っている事と知らない事がある。
それを決めるのは全部マスターである臨也くんだ。

例えば、
僕は複雑な感情は分からないし、
知らないデータを一気に入れられると疲れる。

分からない。恐い。この気持ちは何?

これ以上、
こんな難しい情報を入れないで。




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